「超円安」で打撃、ニトリ、100円ショップの逆境 似鳥会長「1ドル160円を前提に商品を開発する」
東洋経済オンライン / 2024年6月12日 7時10分
今年4月に一時1ドル=160円台と歴史的な水準に達したドル円相場。足元でも157円付近の水準で推移している。多くの商品を輸入・販売する小売業にとって、円安は直接コスト増につながる重要な要素だ。
「100年に1回あるかないか、ありとあらゆるピンチだった。今回はどうしようもない」――。原材料高や超円安、特需の反動も重なる事業環境に、ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長も白旗を揚げた。
ニトリの前2024年3月期決算は、売上高が前期比5.5%減の8957億円、営業利益は同8.8%減の1277億円と減収減益だった。ニトリは小売業界を代表する優良企業の一社。36期連続の増収増益と成長を続けてきたが、ついに記録が途絶える結果となった。
円安の影響でコストが膨らむ
ニトリは業界の中でも高い収益性を誇り、商品の9割を中国やベトナム、タイなどの海外で生産し、輸入するモデルで成長してきた。それゆえに、円安の影響は想定以上の大打撃となった。
ニトリの場合、対ドルで1円円安に振れると利益で約20億円のマイナス影響がある。前期は仕入れにかかる為替レートが1ドル=132円23銭から146円60銭へ円安が進行し、380億円のマイナス影響が発生した。
対策として半数近い商品の入れ替えも実行したものの、コロナ禍の巣ごもり特需の反動も重なり、増収増益の記録がストップしてしまった。
今2025年3月期は売上高が前期比7.2%増の9600億円、営業利益は同1.5%増の1296億円と小幅に回復する計画だ。為替レートは1ドル=150円を前提に置いている。
今期は値下げによる客数の回復を狙っていく。似鳥会長は「こういう時代は安くしないとだめだ。特に去年の暮れから(値下げを)始めた。今年も継続していきたい」と意気込む。
一方で、似鳥会長は1ドル=160円を前提とした商品開発の方針も明らかにしている。原材料と生産地を見直し、仕入れ高を抑えながら、商品に磨きをかけていく。
具体的には、質感や美しさを重視した商品など高価格帯の商品を投入する。例えばカーテンは、生地をプリントではなく織って模様を形成した高級感のある商品を開発。従来の2900~3900円よりも高い、7900~9900円の価格帯で投入する。
すでに店舗で実験的に販売しており「意外と売れる」(似鳥会長)ため、これから本格的に販売を広げる考えだ。
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