若者に教えたい「資産形成より大事な金融の本質」 田内学×白川尚史「異色の受賞小説家」対談前編
東洋経済オンライン / 2024年6月13日 9時0分
東京大学卒業、理系、金融業界経験者――これらが「2024年に小説で大きな賞を受賞した2人の共通点」だといえば、意外な気がしないだろうか。
その1人が、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」で総合グランプリとリベラルアーツ部門賞をダブル受賞した『きみのお金は誰のため』の著者、田内学氏。もう1人が2024年・第22回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した『ファラオの密室』(宝島社)の著者、白川尚史氏だ。
そんな2人が、金融や小説、日本社会について対談。前編では、現在の資産形成ブームや金融教育の問題点について、白熱した議論をお送りする。
田内学(以下、田内):今年は新NISAの開始や、日経平均株価が35年ぶりに最高値を更新して一気に4万円台をつけるなど、投資を後押しする出来事がいろいろありました。投資ブームが日本で久々に熱を帯びています。
【動画で見る】田内学×白川尚史、借金は悪いもの?金融の本質を突く教育とは? 異色の小説家対談
でも実は、僕はこの件に関してすごく強い問題意識を持っているのです。
白川尚史(以下、白川):問題意識というと、どういうことでしょうか。
田内:確かに株は上がっていますが、それは単純に、株が買われているから値段が上がっているだけです。そのことが僕たちの豊かさにつながっているか、僕は懐疑的に見ています。
一方で預貯金ゼロの人もいっぱいいて、その数はここ数年、さらに増えているという話を耳にします。こんな状況で投資を勧めても、預金ゼロの人はお金を増やせないので、結果として貧富の差は広がる一方です。
金融というものは、そもそもお金を融通することなので、みんながお金の出し手にまわっても、何も起きませんよね。実際に世の中を便利にしようとか、より良くするためにチャレンジする人がいなければ、世の中が良くなることは決してありません。
エンジェル投資は「若者の熱意」への投資
白川:私自身、起業経験があり、エンジェル投資もやっているので、田内さんの気持ちはすごくわかります。
私の場合、将来投資したお金が何倍にもなって返ってくるという期待感をもって投資をしているのではなく、これから起業しようとしている若者の熱量に対して資金提供をしています。
実際、彼らは「自分たちが未来を創る」という意識をすごく強く持っているように感じます。ただそういう人たちが、短期的にお金が足りていないので、そこに資金を提供するというスタンスでやっています。
この記事に関連するニュース
-
僕が面接で「超優秀な学生」を見抜けなかった後悔 就活生に教わった「社会人として最強の能力」
東洋経済オンライン / 2024年6月27日 8時0分
-
虫とり小僧さん親子対談!子どもに教えたいお金との付き合い方5カ条
トウシル / 2024年6月20日 7時30分
-
損をしない「守りの投資」が老後のリスクになる…「企業型確定拠出年金」でサラリーマンがやってはいけないこと
プレジデントオンライン / 2024年6月18日 9時15分
-
「東大理系卒で金融業界」の僕らが小説を書いた訳 田内学×白川尚史「異色の受賞小説家」対談後編
東洋経済オンライン / 2024年6月17日 9時0分
-
ネット、本、セミナー、専門家…【新NISA】の相談はどこがいい?
MONEYPLUS / 2024年6月4日 7時30分
ランキング
-
1大分県宇佐市の強盗殺人、死刑判決の被告側が即日控訴…裁判長「被告が犯人と優に認められる」
読売新聞 / 2024年7月2日 22時9分
-
2殺人事件発端は「ラーメンを食べる画像」なぜ…きょう勾留期限・旭川市女子高校生橋から転落殺人
STVニュース北海道 / 2024年7月3日 6時36分
-
3マンションから転落疑いの女児死亡 意識不明で救急搬送 札幌
毎日新聞 / 2024年7月2日 21時19分
-
4かすむ「ポスト岸田」上川外相 米兵事件巡る批判で「洋平さんと同じ道」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月2日 22時17分
-
5なぜ日本のメディアでは小池百合子都知事の「荒唐無稽な噓」がまかり通るか《カイロ大「1年目は落第」なのに首席卒業》
文春オンライン / 2024年7月3日 6時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)