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「役職定年」を廃止する日本企業が増えた理由 タイプ別で変わってくる新潮流への適応方法

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 7時10分

定年が60歳だった頃は、そういう“働かないオジサン”は少数だったので、周りが業務の穴をカバーすることができました。しかし、人手不足が深刻化する一方、定年が65歳、70歳と引き上げられて高齢社員が多くなると、見過ごせなくなります。

役職定年を昨年廃止した消費財メーカーの役員は、「当社でも高齢社員の戦力化が長年の懸案でした。一昨年ジョブ型雇用に転換し、年功序列から脱却したのを機に、役職定年を廃止しました」と理由を説明しています。

役職定年を維持している金融機関の人事部長は、「時間の問題。近く廃止します」と明言しています。「全社的に実力主義の人事評価制度へと改革を進めている最中です。実力のあるなしに関係なく処遇する役職定年は、従業員に説明がつきません」。

アメリカでは、定年は年齢による労働者の差別に当たるとして連邦法で違法です。日本の役職定年は違法ではありませんが、労働者の人権を考えると微妙なところ。今後、人権重視の潮流とともに、役職定年を続けるのは困難になると筆者は予想します。

役職定年廃止で若手でも降格・大幅減俸?

では、役職定年が廃止されたら、会社や従業員にはどういう影響があるのでしょうか。セオリー通りなら、役職定年がなくなったら「みんながハッピー」なはずです。

会社は、今まで役職定年後に安く雇っていた高齢社員に高給を払う必要があります。直接的には人件費アップですが、高齢社員が意欲的に働けば生産性が上がるので、生産性が高い高齢社員に限って高給を払うなら、実質的な負担増にはなりません。

高齢社員にとっては、どうでしょうか。生産性の違いで賃金がダウンするケースと維持できるケースに分かれます。賃金がダウンする高齢社員は、従前の通りなので大きな不満はないでしょう。賃金を維持できる高齢社員は、従前よりも賃金が増えて大満足です。

では、実際のところはどうでしょうか。エネルギー会社に勤める40代の管理職は、会社が最近役職定年を廃止したことを心から喜んでいます。

「私の所属部門で管理職をしていた先輩は、役職定年になった途端に職場のメンバーからイジメを受け、ノイローゼになって退職しました。そういう悲惨な状況を間近で見ていて憂鬱だったので、役職定年が廃止になって本当に良かったと思います」

一方、「みんながハッピーとは限らない」とする見解もあります。役職定年を維持している機械メーカーの人事担当役員は、次のように若年層への影響を指摘しています。

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