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「役職定年」を廃止する日本企業が増えた理由 タイプ別で変わってくる新潮流への適応方法

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 7時10分

「当社では、(役職定年の)56歳までは降格はなくきちんと給料を払う代わりに、その後は給料を下げさせてもらいます、という考え方です。仮に役職定年を廃止し、年齢に関係なく実力や成果で評価するなら、『56歳までは降格はなくきちんと給料を払う』という部分もなくなり、若手でも降格・大幅減俸というケースが出てくるでしょう」

役職定年の廃止というと、会社と高齢社員の利害対立という視点で捉えがちですが、若年層を含めて広く影響がありそうです。

体力が落ちた高齢者も猛烈に働くべき?

ところで、役職定年廃止や雇用延長といった制度改革を受けて、いま高齢社員の働き方が大きく変わろうとしています。最大の変化は、現役世代と高齢社員という区分がなくなることです。

これまで高齢社員は、役職定年あるいは定年に達するまでは猛烈に働き、その後は平社員あるいは雇用延長で契約社員になり、「シニア社員」などと呼ばれて閑職でゆったりと“社内老後”(筆者の造語)を過ごす、という働き方でした。

ところが、年齢の垣根がなくなると、高齢社員にも若手・中堅と同じ働き方をすることが要求されます。引き続き猛烈に働き、成果を出して貢献する、「職場の貴重な戦力」という位置付けになります。

ここで考えなければならないのは、高齢社員の健康格差と資産格差です。若い頃は「健康だが貧乏」という社員が大多数です。ところが、高齢になると、健康を害したり、しっかり資産形成をできていたり、できていなかったりして、次の4タイプに分かれます。

① 健康だが貧乏

② 健康で金持ち

③ 不健康で貧乏

④ 不健康で金持ち

深刻化する人手不足や年金財政難を受けて、いま企業も国も「高齢者はもっと働け!」の大合唱です。しかし、働き方を決めるのは、あくまでも高齢者本人。一般に、タイプごとに次のように考えます。

4タイプ別の選ぶ道

まず、①健康だが貧乏な高齢社員は、企業や国が期待・要望する通り、若い頃と同じように猛烈に働くべきでしょう。というより、猛烈に働いて稼がないと、生きていけません。

一方、金持ちの高齢社員は、企業・国の期待・要望に耳を貸す必要はありません。②健康で金持ちの高齢社員は、仕事が好きなら働けばいいし、嫌いならリタイアします。

④不健康で金持ちの高齢社員は、無理のない範囲で働くのも結構ですが、基本はリタイアします。

問題は、③不健康で貧乏な高齢社員。働けないが働かなければいけないわけで、選択の余地も有効な対策もありません。このタイプの高齢社員には、企業や国が何らかのサポート・対応をする必要があるでしょう。

近年、経済産業省が音頭を取り、先進企業が「健康経営」を推進しています。ただ、「生産性向上」「(若手の)離職率低下」「企業イメージ向上」といった目的で取り組んでいるケースが多く、先進企業ですら不健康な高齢社員への対応は不十分です。

今後、この問題が注目されるようになり、企業・国が本腰で対応を進めることを期待しましょう。

日沖 健:経営コンサルタント

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