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「進路決まらず申し訳ない」と話す子が増える深刻 やりたいことを早く見つける必要はあるのか?

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 18時30分

現在の入試の状況から考えてみましょう。推薦入試の1つである総合型選抜では、ほとんどの大学で「志願理由書」と「面接」が課されます。そこでは「自分はこんなことを頑張ってきた」「今はこんなことをしたいと考えている」「大学入学後・卒業後はこんなことをしたい」という過去・現在・未来を、まるで一続きの物語として語ることが求められているのです。

これは就職面接と同じ構図ですね。そして、そうした要求は、総合型選抜を受けない生徒にも広く及んでいます。今の高校では「早期からの大学・学部選びが大事」「オープンキャンパスに積極的に行こう」「大学のアドミッションポリシーをよく見て、自分のやりたいこととマッチしているか検討しよう」といった進路指導が盛んに行われています。そこでは多種多様な情報を集めて比較して、志望校を決めることが理想的とされており、「何となく」でいることは許されていないかのようです。

このような「早い段階から自分を確立して、将来の進路に向かっていく」という学校の指導に対し、高校生の受け止め方は3パターンに分かれているように感じます。

1つ目は、「そんなの知らないよ」というパターン。ある意味これがいちばん健全かもしれません。2つ目は、早々に進路を決め打ちしてしまうパターン。不確実性の時代と言われる中で、「進路を早く決め打ちして安心したい」と考えている高校生が少なからずいるのは確かだと思います。

3つ目は、自分探しの道に走り、迷い込んでしまうパターンです。就活生だけではなく、高校でもこのパターンの生徒が一定数います。自分の強みは? やりたいことは? 自分が大事にしている価値観は? という問いを過剰に考えてしまい、そうした問いから抜け出せなくなって、先に進めなくなってしまう生徒が多いのです。

自分にはいろんな側面があることを受け入れる

私はこうした3つ目のパターンの生徒に対して、「自分の強みや価値観・やりたいことは変わる」と指導しています。

人間の強みは環境次第では弱みにもなりえるし、「自分はこういう価値観を大切にしている」というのも、状況次第で簡単に揺らいでしまいます。

とはいえ、高校生の中には自分の能力や価値観は揺るがないと思い込んでしまう子が多いです。例えば、学校で「真面目だね」と言われた生徒は、真面目になろうとして、不真面目な自分の一面を強く否定しようとします。

でも、それはどちらも自分であるという事実を受け入れたほうが、生きやすくなるはずです。だからこそ、自分の中に生じた悩みや揺らぎを無理やり解消したり、「本当の自分」を探し求めたりするよりも、いろんな側面を持つ、複数の自分がいる状態を受け入れるほうが望ましいのではないでしょうか?

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