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「進路決まらず申し訳ない」と話す子が増える深刻 やりたいことを早く見つける必要はあるのか?

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 18時30分

学校や社会が要請するような「確固たるアイデンティティの形成」に、抵抗してもいいのではないか。私はそう思うのです。

そしてそうした「自分の中の複数の価値観」を知るためのツールとして有効だと私が考えているのが、思考実験です。

有名な「トロッコ問題」の思考実験を考えてみましょう。「制御の利かないトロッコが、今、5人の作業員を轢こうとしている。あなたは、進行方向のレバーを引くことができるが、もしあなたがレバーを引けば、今度は切り替えた先にいる別の作業員1人が犠牲になってしまう。さて、あなたはレバーを引くべきだろうか? それとも引かないべきか?」というものですね。

シチュエーションによって答えは変わる

こうした思考実験に、答えはありません。人によって答えが変わり、シチュエーションが変わると全然違う答えも出てきます。

例えば「5人の作業員と1人の作業員」だったら「5人を救うべきだ」と考える人がいたとしましょう。同じ人に「5人の老人と、1人の子供」だったら、どちらを選ぶのかを聞いた場合、その人はどんな答えを出すのでしょうか。先ほど「5人を救う」選択をしていた人が、「1人を救う」選択をするかもしれませんよね。

このトロッコ問題を考えると、自分の価値観が必ずしも一貫していないことに気づきます。そしてそうした気づきを得ることができた生徒は、「本当の自分」を探すのではなく、「複数の自分」をどう受け入れるかを考えるようになっていくのです。

前田 圭介:かえつ有明高等学校・社会科教員

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