エーザイ、「37年目トップ」に迫る2つの"後継問題" 認知症薬の成長急ぐ中で発表された注目人事
東洋経済オンライン / 2024年6月13日 7時20分
エーザイは今年3月に、レケンビの売り上げを2026年度に約3000億円、2029年度に約1兆円、2032年度には1.6兆円にまで伸ばす計画を打ち出した。屋台骨をレンビマからレケンビにシフトさせながら、会社全体の売上高を2026年度に1兆円、2032年度には2兆円に拡大させるビジョンを描く。
売り上げの初速は想定を下回る
エーザイがレケンビの研究開発に注いできた時間や費用は膨大だ。発売初年度となる2023年度には、全社の研究開発費と販売管理費の2割に相当する約1100億円をレケンビに投じ、主戦場となるアメリカでの処方体制構築などを進めてきた。
もっとも、立ち上がりは会社の想定に反して緩やかだった。エーザイは2023年度にレケンビだけで100億円規模の売り上げを目指したが、結果は42.6億円にとどまった。営業体制の構築や、病院での薬の採用に時間がかかったためだ。「症状の進行を抑える」という薬の特性上、医師や患者家族から効果が見えにくいこともあり、浸透に時間を要しているとの見方もある。
同社の内藤晴夫・代表執行役CEO(76)は5月の決算説明会で、2023年度の第4四半期の売り上げが第3四半期と比べて2.7倍に拡大した点に触れ、「この傾向は今期(2024年度)にいたって(続いており)、ますます急角度でセールスはアップしている」と強調した。
2024年度の売り上げは、一気に565億円にまで伸ばす計画を掲げる。エーザイによれば、前述の中長期を含めた売り上げ予測には、ドナネマブなど競合薬の影響も一定程度織り込んでいるという。
ただ、競合は手強い。世界的な医薬品企業であるリリーの2023年度売上高は341億ドル(約5兆3440億円)と、エーザイの7倍超に上る。その分、販売網の構築や営業活動にかけられる費用も大きく、エーザイが先行者利益を享受できる時間はそこまで長くないだろう。
エーザイが直面している「後継ぎ候補」の育成問題は、もう1つある。トップ就任37年目に突入した内藤CEOの後継者選びである。
エーザイは5月15日、常務執行役でアルツハイマー病部門のグローバルオフィサーを務める内藤景介氏(35)が、6月14日付で代表執行役専務に昇格すると発表した。
景介氏は、晴夫氏の子息だ。この人事について、内藤CEOは次のように説明している。
「従来当社では、CEOの交代はジェネレーションの交代ということで、数十歳若返らせることが行われてきた。そのやり方に沿ったサクセッションプラン(後継者育成計画)を取締役会と協議し準備してきたが、その一環が今回の代表取締役の選任だ」
CEO交代のタイミングは?
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