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「スラダン酷似ビラ」自民系候補が超絶マズい理由 「著作権法に抵触する可能性」以外の問題点も

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 17時30分

(1)そもそも著作権的な懸念がある
(2)政治家なら「政策」で勝負すべき
(3)パロディーがすべると、本家もすべる
(4)前提が違う「他者」への責任転嫁

それでは順番に見ていこう。

(1)そもそも著作権的な懸念がある

前もって言っておくと、筆者はいちおう法学部出身ではあるが、法曹関係の資格は持っておらず、その道のプロフェッショナルではない。著作権法的に合法なのか、違法なのか、はたまたグレーなのかは、司法が判断するものなので、ここでは深掘りしない。

しかし、少しでも疑念を与えてしまっては、その時点で試合終了ではないか。ただでさえ、推薦を出した自民党は「裏金問題」から脱却して、クリーンな印象を築かなければならないタイミングだ。悪印象を残す可能性のある活動は、極力避けたほうが無難なのは間違いない。

(2)政治家なら「政策」で勝負すべき

そもそも、人気コンテンツに「タダ乗り」「フリーライド」している印象を与えてしまうような広報活動が、選挙において有利になると思えない。

政治家は「イメージ商売」の側面が強いが、見た目だけ華やかにするのではなく、本来は政策で勝負すべきだろう。どれだけ魅力的な政策や公約を掲げていても、その表紙にオリジナリティーがなければ、「この政治家は、他人の手柄でも『横取り』するのではないか」 とのイメージを与えてしまう。

版権者の許諾を得ずに、人気キャラを「政治利用」したのではと疑われたケースは、これが初めてではない。たとえば2023年の統一地方選に向けては、とある政党の街頭演説会で「アンパンマンの着ぐるみ」が応援に訪れた。

同党所属の市議が、この着ぐるみと踊る様子などをSNS投稿したことで問題視され、アンパンマンの権利者側が各社取材に「個別政党や政治活動への使用許諾をしていない」と答えたことから炎上状態に。この際、同党側は謝罪しつつも、あくまで「支援者が着てきた」との主張を保った。

元ネタにも政治的な色が付きかねない

(3)パロディーがすべると、本家もすべる

とはいえ、パロディーそのものを否定したいわけではない。今回のケースでも、それなりの独自性やユーモア、その作品である必要性(たとえば候補者が元プロバスケ選手など)があれば、まだ擁護の余地があったかもしれない。しかし筆者は、今回そのどちらも感じず、申し訳ないが、ただ単に「すべった」だけの印象を覚えた。

街頭インタビューや宴会の余興で、芸人のギャグを一般人が言い放ったときの、あの微妙な空気を思い出してほしい。仮に「元ネタへのリスペクト」があろうとも、すべってしまっては、顔に泥を塗ることになってしまう。とくに公職候補(予定)者によるパロディーは、元ネタにも政治的な色が付きかねないことから、扱うとしても慎重になるべきだ。

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