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「スラダン酷似ビラ」自民系候補が超絶マズい理由 「著作権法に抵触する可能性」以外の問題点も

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 17時30分

「アンパンマンの着ぐるみ」に近いケースとして、同じく2023年の統一地方選を前にしたタイミングで、大塚食品の「ボンカレー」のパッケージをパロディー化して候補者をねぎらう画像が、特定政党の支持者を中心に出回った。こちらも同様に問題視され、最終的には、大塚食品が一切の関与を否定するコメントを出すまでに発展している。

(4)前提が違う「他者」への責任転嫁

ビラをめぐる一連の報道では、とある商店街のポスターからヒントを得たとの、陣営スタッフ発言が伝えられている。これもまた、現実を直視していない責任転嫁だと感じさせてしまう。記事では商店街の具体名は明記されていないが、おそらくこれだろうと思われるポスターがある。

そのポスターは実写で、商店街の店主ら5人が、ユニフォームを着ているもの。2023年末に掲示されて話題になり、ネットメディアを中心に「おもしろネタ」の切り口で取り上げられ、関係者コメントも報じられた。それらによると、もともと約10年前から、毎年の話題をパロディー化したポスターを制作していて、たまたま2023年は「THE FIRST SLAM DUNK」を題材にしたようだ。

つまり、同じ「元ネタ」をパロってはいるものの、そこへ至るストーリーはまったく異なる。また、商店主という「毎日のように顔をあわせる近所のおっちゃん」がキャラになりきるのと、市長選候補者(元県議)という「遠いと感じられている存在」がなるのとでは、読み手の受け取り方も異なる。別のフィールドである、商店街の例を出してしまったのは、まったくの悪手と言えるだろう。

法規制に対する意識の低さ

ここまで4つの観点から、今回のビラが「マズい理由」を考察してきた。いずれの背景にも、「選挙に勝てれば手段はいとわない」という、政治家特有の思考プロセスがあると思われる。

昨今ようやく、公職選挙法や政治資金規正法をめぐる議論が進みつつあるが、こうした政治関連法のみならず、著作権などの知的財産関連や、街頭演説とは切っても切れない道路交通法など、あらゆる法規制に対する意識が低く感じられてしまうのだ。

ここまで熱を入れて語るのには、理由がある。実は筆者自身も、かつてオリジナルの手作り選挙に挑み、惨敗した経験があるからだ。あらゆる広報物を自作し、告示日以前には公選法に触れる「事前運動」を行わないよう、最大限の注意を払っていた。それらはすべて、まっとうな選挙のあり方を提案したいとの思いからだった。

「文句は受かってから言えよ」「負け犬の遠吠えだ」と言われれば、それまでだ。ただ、資金も人手も限られるなか、自力で政治を志すチャレンジャーが貧乏くじを引くような現状は、一刻も早く変えなくてはならない。「借り物」じゃない、オリジナリティーが評価される未来が、一日も早く実現することを願っている。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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