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ジム・ロジャーズ「これからも円安は止まらない」 渡邉美樹氏「昔の1ドル=360円時代に戻る」

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 9時0分

渡邉美樹氏との対談はシンガポールのロジャーズ氏の自宅で行われた(写真:Luxpho〈Takao Hara〉)

シンガポール在住、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子です。

「世界三大投資家」の1人と言われるジム・ロジャーズ氏と、飲食チェーン大手・ワタミの会長兼社長である渡邉美樹氏との対談本『大暴落 -金融バブル崩壊と日本破綻のシナリオ』(プレジデント社)が出ました。最新のロジャーズ氏への追加取材も含め、今回から「50年ぶりの円安が意味するもの」「日本人の資産防衛法」「インフレと世界経済の行方」について掘り下げていきます。

「円安は当然、むしろ遅すぎたくらいだ」

少し前のことになりますが、4月29日の外国為替市場ではドルが対円で一時1ドル=160円台を突破、1990年4月以来34年ぶりのドル高円安水準をつけました。他通貨との為替の動きや物価の変動などを考慮に入れた「実質実効レート」では実に50年ぶりの円安になっていると聞いて、驚いている人も多いと思います。

ロジャーズ氏はすでに東洋経済オンラインの約1年半前のコラム『日本は英国のように没落する』で、「今のままでは1ドル=175円もありうる」と述べていました。ついにその言葉が現実味を帯び、目が覚めた日本の方も多かったのではないでしょうか。

財務省は5月末になって、直近に実施した為替介入の金額(4月26日~5月29日)がなんと9兆7885億円だったと発表しました。もちろん、政府の外貨準備のうちのすべてを為替介入に使えるわけではありません。政府が介入できる残りの実弾も限られています。

ロジャーズ氏は円安についてこう言います。「2022年3月以降、急激に円安が進みましたが、私は、ここまで円安が起こらなかったことに対して、むしろ驚いているほどです。私はもっと早く円安が起こると予測していました。なぜなら、日本は何十年にもわたって、巨額な借金を積み重ねてきたからです。にもかかわらず、今になってようやく円安になった理由は、日本人の国民性が関係していると思っています」。

どういうことでしょうか。「結局、これまで日本国民は、政府が(ドルなどの他国の通貨ではなく)『日本円を買いなさい(持っていなさい)』と言えば『はい、そうします』と従ってきたわけです。この従順さが、円安になるのを遅らせた原因の1つだと考えています。

今や、円の価値は約50年ぶりの低水準になっています。では、50年前の日本はどんな国だったでしょうか。

ロジャーズ氏は言います。「今とはまったく違う国でした。出生率も現在より高かったですし、国としてはもっともっと発展していました。今は借金が大きく増えたうえに、出生率が減っています。そう考えると、さらに円安になるのは明らかではないでしょうか。40~50年前の1970~80年には、円の相場は1ドル=175~200円でした。同じ水準まで円安が進むことは大いにありえます。今は当時よりも人口動態が悪く老齢化も進み、借金も多いので、今回は50年前よりさらに円安に動く可能性も十分あります」

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