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世界では「近視は病気だ」と認識されつつある 日本で目が悪いことが軽視されすぎている理由

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 8時30分

「近視は治療が必要な『病気』である」という認識が、日本ではまだまだ浸透していません(写真:サクちゃん/PIXTA)

今、近視が世界的に問題になっている。

WHO(世界保健機関)は、「2050年には世界人口の約半数が近視になる」という予測をしている。

日米で30年以上眼科研究を続ける眼科医であり、近視撲滅を目指すクボタグラスの発明者である窪田良氏は著書『近視は病気です』(東洋経済新報社刊)で、「日本ではこうしたことがあまり知られていない」と警鐘を鳴らしている。

窪田氏によると、日本でもう一つ理解されていないことがあるという。それは「近視は治療が必要な『病気』である」という認識が、世界的に高まってきている事実だという。

「異常」ともいっていい変化

WHOの予測は大変ショッキングです。2050年には世界でおよそ48億人が近視になるという予測をしているわけですが、これは、糖尿病や肥満よりも多い数です。そしてこれらの病気の比ではない勢いで、近視人口は増えています。

今からおよそ10年前、2010年の近視人口は20億人弱と、世界人口の約3割でした。通常、遺伝子の変化を必要とする生物の進化は、10万年から100万年単位で起こってきました。それが、一気に2割も増えてしまうのは異常といってもいい変化です。

この爆発的増加の主体が、子どもの近視の増加です。日本でも2023年秋に文部科学省が公開したデータで、資料が1.0未満の子どもの割合が過去最多となったことがわかり、大きな物議を醸しています。

私は日本においては、「近視は遺伝だからしかたがない」「近視はメガネをかければいいので気にしなくていい」といったように、近視が単に「見えづらいという現象」であるかのように軽く見られ、十分な対策が取られてこなかったように思います。

実はさきの文科省調査では、虫歯についての結果も出ています。それによると、子どもの虫歯の割合は過去最低となりました。これは、虫歯は良くないものだという認識が広まり、早いうちからしっかりと予防されるようになっているためでしょう。

一方、近視はこれまで放置されてきた、とは言いすぎでしょうか。

少なくとも私から言わせると、「近視は良くないものである」という認識が日本ではまだまだ浸透していません。

しかし、近視は病気です。

近視が抱える将来的な「リスク」

近視は病気なのかについては、実は、専門家の間でもまだ議論の最中です。国によっても、学会によっても立場がさまざまで、コンセンサスがまだ得られていません。

非常に程度の強い近視は、すでに「病的近視」という言い方が定着しています。一方で、軽い近視はノーマルバリエーション――いわば鼻が高い、低いと同じ“個人差”であるという考え方が根強くあるのです。

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