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アップルがAI戦略で「他社に頼った」という大誤解 異なるビジネスモデルでAIに取り組んできた

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 7時10分

アップルはOpenAIと提携、同社の生成AIを使うことになった(筆者撮影)

アップルはAIで遅れていたが、今回のWWDCで巻き返しの策に出た。

【写真で見る】Apple Intelligenceは、製品の魅力を高める多数の機能を持つ

巷での評判はそんなところではないだろうか。そういう言い方もまた間違いではないが、WWDCを現地で取材する身としては、また別の印象を受けている。

同じような時期に走り始めたビッグテックだが、商品戦略の違いで表に出てくるタイミングと、戦略上の組み立てが違うというのが筆者の見方だ。

さらに言えばレース自体のゴールも見えておらず、どこまでどう走るべきかを模索している、というのが現状ではないだろうか。

では、その中でアップルが目指すゴールはどこで、他社とはどう違うのか? その点を考察してみたい。

「遅れを挽回」という見方に対する違和感

GoogleにしろOpenAIにしろMetaにしろ、ビッグテックは大規模な生成AIの開発に力を入れている。

それらの企業と違い、アップルは“クラウドで動く大規模な生成AI”に積極的でないように見える。それが“遅れ”と感じられる部分はあるのだろう。

今回アップルは、各種OSでOpenAIの「GPT-4o」を使えるようにした。そのため「OpenAIをパートナーとして遅れを挽回」と説明する記事も多い。

ただ、これはちょっと認識が異なると感じる。

そもそもアップルはOpenAIとの提携をAI戦略の主軸に据えてはいないからだ。

アップルとOpenAIの提携は独占的なものではないし、OSに深く組み込んだものでもない。今後はGoogleの「Gemini」など、他社のクラウドAIも使えるようにしていく予定だという。ウェブブラウザーで検索エンジンの設定を切り替えるようなものだ。

他社の生成AIを使うのは、アップル独自のAIである「Apple Intelligence」とは違う結果を得たいとき。そこでユーザーが選択して利用する機能となっている。

確かにクラウドで動く巨大で賢い生成AIは重要な存在ではある。ただ、「賢いAIに何かを聞く」「複雑なプロンプトを記述して処理してもらう」というのは、生成AIの使い方の1つにすぎない。

アップルが目指しているのは、クラウド上の大きな知性をサービスとして提供することではなく、機器をより便利に使うためのAIだ。

ほかのビッグテックの場合、収益の源泉はサービスもしくは広告が中心。生成AIの強化=サービスの強化という意味合いも強い。生成AIはコストのかかるサービスであり、だからこそ、AIを作る基盤整備やオフィスアプリケーションへのAI搭載といった要素が有料で用意されていくのは必然だ。

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