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ミセスMVが示す日本人の「白人化された歴史認識」 過去にはももクロが「黒塗りメイク」で問題に

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 14時30分

ミセスの大森元貴がMrs. GREEN APPLEのホームページに出したコメント(写真:Mrs. GREEN APPLEのHPより)

Mrs. GREEN APPLEの最新曲「コロンブス」のミュージックビデオを見て、私が最初に思ったことはこうだった。 「彼らがこのビデオについて議論しているとき、自分が制作室にいたら、彼らがいったい何を考えているのかわかったのに」だった。

【写真】Mrs. GREEN APPLEの3人

というのも、このビデオのイメージはいくつかの解釈が可能で、その中にはよくない解釈もあるからだ。このビデオがSNSで物議を醸したこと(その後、配信停止になったこと)は驚きではない。

おバカでも、軽快でもない問題点

今回ミセスの曲は「Coke STUDIO」というコカ・コーラのキャンペーンに使われている。私自身はこの曲と彼らの歌声が好きだし、ビデオも表面的には、おかしみとカラフルなキャラクターがたくさん登場する軽快なお遊びのように見える。

だが、このビデオには、それほど軽快でもおバカでもないことを示唆する問題点もある。

3人の歴史上の人物に扮したバンドが南国のような島を訪れ、猿だらけの家でパーティーをしているところに遭遇する。ビデオの中で、バンドの3人のメンバーはコロンブス、ナポレオン、ベートーヴェンに扮している。

まず最初問題は「コロンブス」というキャラクターだ。

大森元貴演じるコロンブスは、アメリカ神話の中でこの国を発見したことで有名なイタリア人である。彼が発見した国には、すでに何百万ものさまざまな部族の先住民が住んでいた。彼らを発見すると、コロンブスとスペイン軍は不均衡な物々交換を行なったうえ、後に残虐行為を繰り返すようになる。

コロンブスはハイチ、ジャマイカ、キューバといったカリブ海の島々も「発見」したとされるが、こうした地域にすでにタイノ人が住んでいた。コロンブスらはこれらの国々も侵略し、人々を奴隷にし、さらにはヨーロッパ人の病気を蔓延させた。

類人猿はタイノ人やアメリカ大陸の先住民を表しているのだろうか?(大森はHPに寄せた謝罪で「類人猿が登場することに関しては、差別的な表現に見えてしまう恐れがあるという懸念を当初から感じておりましたが、類人猿を人に見立てたなどの意図は全く無く、ただただ年代の異なる生命がホームパーティーをするというイメージをしておりました」と書いている)。

ナポレオンが出てくるのもマズい?

次に登場するナポレオン(演じているのは若井滉斗)は、フランス国王を打倒・処刑し、自らを支配者とした独裁者である。ナポレオンはアフリカ(スフィンクスの鼻を撃ち落としたと噂されるエジプト)にも侵攻し、フランスに対する反乱の際に彼の軍団から奪い取ったばかりの自由に対して、ハイチ人に特別な請求書を(外交的承認の見返りとして)手渡している。この借金の支払いには122年を要し、今日の歴史家でさえ、この借金が今日のハイチの貧困の原因であり、悪質であると非難している。

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