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飲食店を悩ます「ドタキャン」何が問題なのか やむを得ないキャンセルのときにできること

東洋経済オンライン / 2024年6月17日 11時0分

このキャンセル料、何に対してかかっているのだろうか。

飲食店はホテルや航空会社などのようにその日・その時間でしか消費できない「在庫を繰り越せない業態」であるため、キャンセルを受けると売り上げがゼロになるだけでなく、そのゲストのためにほかの予約を断っていたとすれば、さらに損失額が増える可能性がある。

一方で、キャンセルで出る損害を、「時間」ではなく「食材などの原価」だけだととらえてしまうと、食材が残れば店の損失は発生していないと考えてしまう。そのため食べていないのにキャンセル料を払うということに納得がいかないと考えるのかもしれない。

しかし、食材が使われなければ損失が出ていないかというと決してそうではない。仕込みの人件費はすでにかかっているし、食材そのものでも宮本さんの店でいえば、いったんキャンセルが出れば食材で「7割か8割は損失」という。

たとえばメイン料理のあか牛は、予約時間の数時間前に人数分カットし、乾燥させて、食材のコンディションが予約時間にピークになるように持っていく。キャンセルが出れば、その分は使われない。

コンディションのピークを過ぎた食材は、翌日の営業に使えないことは明白だ。もし逆に、自分が飲食店で食べる料理が前日誰かがキャンセルした、ピークを過ぎたコンディションの食材だと知ったら、その店には二度と行きたいとは思わないだろう。

くだんの「不満感」を伝えてきたゲストは、驚くことにさらにこのようなメッセージを伝えてきたという。

「キャンセル料はそのまま払わなければならないのか。キャンセル料に見合う対価は自分に何かあるんですよね」

キャンセル料が何に対してかかっているかを理解すれば、このような声は出てこないはずだ。

キャンセルするのはどんな人?

2019年、都内の居酒屋に17人分22万円の虚偽の予約を入れて無断キャンセルした50代の男性が偽計業務妨害の疑いで逮捕された事件があった。そのときは「無断キャンセルで逮捕者が出た」と大きな注目を集めた。

そのほかにも、メディアやSNSで飲食店予約の団体キャンセルの事案が報じられるのを目にするが、実際にキャンセルしているのはどんな人たちなのだろうか。

「キャンセルは年齢層、男女を問わず起きています。ドタキャン自体の発生頻度も、最近急増したというようなこともありません」と述べるのは、飲食店のキャンセル事情に詳しい弁護士の北周士さんだ。

北さんは、飲食店や美容院などのキャンセル料を支払わなかったゲストに対して、店に代わってキャンセル料の回収を代行する「ノーキャンドットコム」を2019年から運営している。

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