サイゼ元社長が目指した「飲食店版のユニクロ」 おいしい野菜を安く安定的に供給できる仕組み
東洋経済オンライン / 2024年6月18日 17時0分
野菜のおいしさは、鮮度で決まります。収穫後からすぐに味がどんどん変わっていくものが多くあります。また、破棄している部分でも普通に食べられるものが多くあることを知りました。
そこで野菜はできるだけ気温が低いうちに収穫して、すぐに温度を下げます。そして、これまで使用してこなかったものも買い取る。そして、工場につけばできるだけ早く加工する。
おいしさが落ちる前に、これでもかというくらい、ふんだんに使って加工するわけです。
ほかのレストランチェーンを見ればわかりますが、野菜のメニューは実はそれほど多くありません。とくに葉物野菜の量は限られています。
健康志向の高まりで、サラダを充実させたレストランは増えていますが、野菜は高いし、すぐに悪くなる。
だから、サイゼリヤと同じ価格帯で、サイゼリヤと同じ量のレタスを使ったサラダは、見たことがありません。日持ちがするキャベツならわかりますが、レタスではそもそも無理なのです。
トマトも力を入れた野菜のひとつで、品種改良を重ねました。日本で一般に使用されているトマトはカットすると果肉が崩れてしまうことから、店舗でカットしていました。そのためにかかる人件費は相当なものでした。
また、カットに包丁を使うとけがをするリスクが高くなるため、専用のカッターを使用していました。専用カッターを使うことでけがは減ったのですが、捨てる部分も多かったため、今度はカット方法をスライスから八つ切りへと変化させていきました。
カットしても果肉が崩れないトマトができてから、工場でカットすることが可能となりました。大量に処理するために、カットの形状は角切り(コンカッセ)となりました。
このように品種や形状を大きく変える際は、お客さまからクレームが一切出ないことをテストで確認しながら開発を進めていました。
食材までさかのぼって改善を積み重ねる
トマトの例からもわかるように、食材の品質向上やコスト改善のためにはいろいろなことを変えていく必要があります。
生産プロセスを全部手がけているサイゼリヤだからこそ、できることです。
一般に、新しいメニューを開発するときは、必要な食材をどこから調達するかが課題になります。
規模の大きなチェーンの場合、安定供給を優先するなら、契約農家との取引を中心とし、大量購入によるバイイング・パワーを活かして、そのときいちばん安いものを買って仕入れコストを下げる戦略も当然、視野に入ってきます。
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