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ミセスの大炎上を日本の会社員が「笑えない理由」 「炎上リスクに気づき、主張する」のは容易ではない

東洋経済オンライン / 2024年6月18日 21時55分

現場の検査部門と品質管理部門は、不正検査でもやらないと出荷に間に合わないといった動機を持ちやすい。そこに戦略的KYによってその動機を抑止する。

また雰囲気として違和感を表明できない場合だけではなく、サンクコストを意識しすぎる場合がある。つまり、「これだけお金かけて作っちゃったんだから、いまさら取り消しなんてできないよ」という感情だ。

しかし考慮するべきは未来であって、過去ではない。過去にどれだけお金をかけても、それが未来に損害を与えるのであればやめるべき、という冷静な評価が必要だ。

ここまでしないと、「違和感を表明していい空気」を作ることには繋がらないのだ。

歴史上の固有名詞を使わない傾向へ

なお、アーティストの炎上事件の際、専門家はよくアーティストは意図を含めて議論を、というものの、当事者本人は精神的にその気になれないはずだ。また議論といっても、誰と議論するのかわからず、議論しても物事が改善するようには思えない。

企業の場合も同じだろう。歴史観についての議論を回避し、炎上したらすぐ謝罪し対象コンテンツを消すのは「事なかれ主義」といわれるかもしれない。

ただし、前述の「そもそも炎上する内容だと知らなかった」→「できるだけ組織員に啓発を行う」「違和感はあったけれども組織員が言い出せなかった」→「サンクコストを重要視せず、違和感を表明できる組織づくりをする」といった努力をしたうえで、企業はおそらく歴史上の固有名詞を使わない方針になるだろう。

少なからぬ歴史上の人物は、善の側面と悪の側面をもつ。歴史上の人物を登場させたとき、その悪の側面を批判されると、人気商売はなかなか反論しにくい。

これは価値観の善しあしの問題ではない。企業は防御策として、固有名詞を避けるしかない、という意味だ。昨今では、CMタレントにも不祥事を起こさないAIが起用されはじめている。私たちが生きているのは、それほどまでに漂白化された社会なのだ。

実際のMVの様子はこちら

坂口 孝則:未来調達研究所

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