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M-1常連さや香「次はコント」"見せ算"からの進化 TVも重視、「令和の視聴率男になりたい」発言も

東洋経済オンライン / 2024年6月21日 14時30分

「たしかに石井は自分でも笑い取りに行きつつ、かつ回り(※原文ママ)を活かせる人やなと思います。新山は、6人の中でいちばんお笑いの要素を担ってくれているんじゃないかな、と。どっしりと、笑いの軸を作ってくれている存在やと思います」(みながわ)

この時期、東京では「第七世代」ブームが到来していた。かつて『新しい波24』のメンバーだった霜降り明星が2018年のM-1で優勝。せいやがラジオ番組で発言した当時20代のYouTuberや芸人などを指す「第七世代」が広まり、ハナコ、EXIT、宮下草薙、四千頭身、3時のヒロイン、ぼる塾といった若手芸人がバラエティーで注目を浴びた。

「劇場はもう飽きられてる感じでした」

さや香も「第七世代」を意味する特番『7G〜SEVENTH GENERATION〜』(フジテレビ系)に出演しているが、それほど恩恵を受けたとは言いがたい。

大阪を中心に活躍しているものの、2017年のM-1以降は準々決勝敗退が続き、キー局のバラエティーの中心にもいなかった。

2024年5月14日にYouTubeチャンネル『鬼越トマホーク喧嘩チャンネル』で公開された動画の中で石井は、「劇場とかやったら、客ぜんぜん俺らじゃ埋めれへんしみたいな。テレビでレギュラー増えてちょっと知名度上がってるんですけど、劇場はもう飽きられてる感じでした」と当時の状況を述懐している。

2021年、さや香はM-1で準決勝進出を果たし、ようやく壁を打ち破る。惜しくも敗退したが、敗者復活戦で「か・ら・あ・げ、4(よん)!」をひたすら繰り返すネタで強烈なインパクトを残した。

もう1つ、注目すべきは同年の3回戦でボケとツッコミを入れ替えた点だ。

2021年の予選会場でのインタビュー中、この件について石井が「“通達”っていう形で僕は言われた」と答えると、新山が「悪いことちゃうやんけ」「“通達”みたいなのもうやめよう」と指摘し、軽い口論になったシーンが印象深い(『M-1グランプリ2022アナザーストーリー』<ABCテレビ・テレビ朝日系>より)。

翌2022年は、石井がボケ、新山がツッコミにスイッチした漫才を仕上げて準優勝。2023年は2年連続で1stを1位で通過し、ファイナルステージで新山が独壇場でしゃべり続けるネタ「見せ算」を披露して3位になったのは周知のとおりだ。

東京ではコント優先、先がわからない面白さ

2024年のM-1も優勝候補として期待されているが、前述の『ナイツ ザ・ラジオショー』の中で新山は「漫才ほぼ9、コント1ぐらいでやってたやつを、コント9にしてみたい」「2年ぐらいそれで頑張って、あかんかったらすぐ全力で漫才頑張る」と直近の展望を語っていた。

ラストイヤーまで猶予があること、いまだ「見せ算」の印象が強いこと、コント師が多い新天地で芸の幅を広げられることなど、その選択には複合的な理由があるのだろう。

とはいえ、実際にはM-1にエントリーすることも考えられ、もしそうなれば自信作を披露する可能性が高く、それはそれで楽しみでもある。

「仲がいい」「傷つけない」といった安定感のある芸風が支持される昨今、珍しく先がわからない面白さを感じさせるのがさや香だ。今後の動向にもぜひ注目していきたい。

鈴木 旭:ライター/お笑い研究家

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