ついにLINEペイも撤退、瓦解するLINEの金融事業 LINEが描いてきた「経済圏」は画餅に終わるか
東洋経済オンライン / 2024年6月21日 8時20分
スマホ決済事業者がまたひとつ、淘汰される。LINEヤフーは6月13日、日本国内におけるスマホ決済「LINEペイ」を2025年4月末で終了すると発表した。
【図表】LINEペイとPayPayの業績推移、その差は開く一方に
他社に先駆けてスマホ決済市場を開拓してきたLINEペイ。だが、先行者利益を享受できぬまま、後発組のPayPayにあっけなく打倒された。金融事業の中では比較的健闘していたLINEペイの終了により、LINEが描いてきた「経済圏」の夢はいよいよついえた。
隅に追いやられたLINEペイ
「時間の問題だった」。決済業界関係者の反応は冷ややかだ。
2021年にヤフーとLINEが経営統合を果たして以降、LINEペイは微妙な立場に追いやられていた。PayPayが事業セグメントとしての地位を確立する一方、LINEペイは「その他金融」と十把一絡げにくくられた。
2022年7月には、店頭に設置するQRコードをPayPayに一本化し、LINEペイのQRコード決済サービスは終了した。親会社がPayPayを決済事業の主軸に据えている姿勢は、誰の目にも明らかだった。
PayPayはLINEペイより4年遅い2018年10月にサービスを開始した。広告費や還元キャンペーンに巨額の資金を投じ、2年足らずでLINEペイの売上高を追い抜いた。その後も勢いは止まらず、2024年3月期にはカード子会社と合わせた連結売上高が2000億円を突破。足踏みが続くLINEペイとの差は広がる一方だった。
だが、LINEペイの敗因は、グループにおける決済事業の集約だけが理由ではない。LINEが若年層向けの金融サービスを入り口に「経済圏」の構築をもくろむ中、PayPayが仕掛けた「QRコード決済旋風」に巻きこまれた事実も見逃せない。
「スマホのおサイフサービス」。LINEペイが産声を上げたのは2014年末。当時、力点を置いていたのは「送金」だった。LINEでつながる友人向けに電子マネーを送れる機能で、使用シーンは主に飲み会での割り勘を想定していた。
決済機能も搭載してはいたものの、念頭にあったのはネット通販だ。LINEの主な利用者である若年層は、銀行口座やクレジットカードを持たない人も多い。そこで、現金をLINEペイにチャージし、ネット通販での支払いに使われる需要を見込んだ。黎明期の加盟店も、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)など若者向けのアパレル通販が目立つ。
行く手を阻んだPayPayの猛攻
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