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「うつ病で休職」回復に効果的な"心の休ませ方" 働けないことへの劣等感や罪悪感を遠ざける

東洋経済オンライン / 2024年6月24日 20時0分

さらに、会社でも、学校でも、もしかすると家までもが結果主義で、どれだけがんばっても結果が悪ければ、評価されないことがあります。その評価で「あなたはダメ」「あの人のほうがあなたより優れている」などと言われれば、「自分には価値がない」「自分はダメな人間」だと思ってしまうのも仕方がありません。

いつも誰かと比べたり、比べられたりしていると、多かれ少なかれ劣等感や微小感が生まれるのは当たり前なのです。

それでも、自己の中心が平常心にあることが多ければ流せるのですが、不安心にあることが多くなると気になり始めます。そして、自信を失ったり、焦りを感じるようになったり、落ち着きがなくなったり、心に負担がかかるようになり、それが脳の負担にもなっていくのです。

映画やスポーツで心の病が快方に向かう

うつ病を発症した場合は休職が最善策です。Aさんがそうだったように、私も休職を勧めています。ここで多くの患者さんに見受けられるのが、働いていないことに対する劣等感や罪悪感です。ゆっくり休まなければいけないのに、復職や転職のことばかり考えていては、うつ病からの回復の妨げになります。

そこで、私のクリニックで勧めているのがデイケアへの参加です。デイケア(当院の場合は、午前から夜まで行っているので正確には「デイナイトケア」。一般的にデイケアは昼間だけです)とは、スタッフや参加した人たちと一緒に食事をしたり、スポーツをしたり、映画を観たり、カラオケをしたりなど、楽しい時間を過ごすことで肯定的体験を重ねる場所です。

なぜ、食事やスポーツで心の病が治るのか、と思うかもしれませんが、スタッフや仲間と遊んでいる間は仕事のことを忘れられます。そこには、否定的なことを言う人はいません。レクリエーションで楽しく前向きな気持ちになり、人と人との触れ合いを通して自信を取り戻し、他者への恐怖心も払拭できるようになります。

専門のスタッフが立ち合いますので、その場が肯定的体験の場になるよう、常時ケアをしています。Aさんにとっても、その効果は大きかったようでした。

デイケアに参加するようになったAさんは、対人恐怖が消失し、このことが復職への不安を払拭することになりました。

デイケアでの体験を通して、人生を楽しむことの大切さ、仲間を信頼することの必要性、休憩を取るコツなどを身につけることができたのです。

Aさんが復職して10年が経過しました。ときどき、軽いうつ状態になることはあるようですが、働きながら回復できているといいます。

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