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二千円台で宿泊「カプセルホテル」安さ以外の魅力 おしゃれで清潔、睡眠解析も…いつの間にか超進化

東洋経済オンライン / 2024年6月24日 12時0分

睡眠のゆりかごとなるカプセルは高さ1.2m、幅1.2m、奥行2.5mと従来品より2割広く、閉塞感の少ないタイプだ。さらに2020年にメーカーと共同で新モデルも開発。開口部分にハッチ型ドアを取り付け、静音効果を高めた。これに伴い、クリーンな換気と個別の温湿度管理も実現した。

最後の「身支度」では、出入りがスムーズで、出発まで充実した時間を過ごせる機能に特化する。たとえば、かさばる荷物は専用ロッカーに。ロッカー内には、館内着、使い捨てスリッパ、歯ブラシが用意されている。

また、カプセルで寝る時間以外はラウンジでくつろいだり、設置されたワークデスクで仕事や勉強も可能だ。一部には半個室のワークデスクも用意されており、WEB会議やオンラインミーティングに参加もできる。重ねて、カフェを併設する3ホテルではスペシャリティコーヒーも味わえる。

出入りについても、女性専用の『ナインアワーズウーマン新宿』をはじめ3ホテルはフロントを廃止してスマートチェックインを導入。カードキーに印刷したQRコードがエレベーターキー、ロッカーキーとして使える仕様になっている。

以上のように、コンセプトに沿って、3つの行為に当たる機能を手厚くしているため、ゲストはほぼ想定通りのサービスを受けられる。

宿泊価格は変動するが、高額なタイミングでも機能に納得したうえで選択するため、トラブルは少ない。また、価格については無料会員制度があり、最大10%の割引が受けられる。利用すれば1泊2500円~2万円前後、平均6000~7000円で宿泊が可能。この価格は現状、ビジネスホテルの最安値に相当する。

ナインアワーズのゲストはビジネスホテル利用者に近いが、より価格に敏感だ。彼らは都心の最安値の宿を探し、価格に応じてビジネスホテルとカプセルホテルを使い分けている。ただし、たとえビジネスホテルが1000円、2000円安くとも、客室写真に汚れが目立ったりクチコミの評価が低い際は、お洒落で清潔なナインアワーズを選ぶ人々だ。そして、場合によってはその決断を、睡眠解析サービスがあと押ししている。

デザイン性、睡眠解析サービス、清潔へのこだわり、3つの行為に基づく機能。これらが織りなす宿泊体験が、筆者が取材で感じたナインアワーズの価格以外の魅力である。それらの根底にはコンセプトがあり、これを明確に打ち出すことでゲストの期待値と合致することが、最大の強みと言えるかもしれない。単に価格や施設で勝負するのではなく、独自のコンセプトを掲げ、その体現を追求する姿勢は、他のサービス業にも不可欠なものと言えるのではないだろうか。

後編では、睡眠解析サービスと表裏一体で進める別事業と、経営哲学について紹介する。

笹間 聖子:フリーライター・編集者

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