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釧路湿原の大量メガソーラーに土地買取で対抗 原野商法で取得した土地「手放したい」人々も

東洋経済オンライン / 2024年6月24日 12時30分

NPO法人・環境把握推進ネットワークPEG理事長の照井滋晴さん(41歳)は、釧路教育大学在学中からキタサンショウウオの研究を続けてきた。釧路市文化財保護条例に基づく釧路市立博物館による生息状況の調査に協力。その結果は、照井さんら関係者を慌てさせた。

南部湿原のキタサンショウウオの生息適地と太陽光発電事業の予定地が重なり合っていることがわかったからだ。予定地は、資源エネルギー庁公表のFIT制度(再生可能エネルギー特別措置法に基づき有利な価格で再エネにより発電した電気を売れる制度)の認定情報をチェックすればわかる。

2023年12月、照井さんは南部湿原の土地2カ所、計4627㎡を購入した。「近くにメガソーラーの建設予定地があり、比較的まとまった大きさの土地だったので。所有者さんがさまざまな費用を払っても損をしない価格帯で、自分の金で購入しました」という。

この2カ所にキタサンショウウオが生息しているかどうか、まだ調査できていないが、「良い湿地が残っており、どのような生物が生息しているか調査を進めたい」と照井さんは考えている。

照井さんに、どうやって取得可能な土地を見つけたのか尋ねると、「不動産会社が出している情報を見ました」という。照井さんは同様の方法で2023年3月にもNPO法人の会計から2カ所の土地を購入し、2024年4月、トラストサルン釧路に寄贈している。

原野商法で取得した土地を手放したい、という地権者

不動産会社のハウスドゥ!釧路中央店(株式会社アースハウス)の店長、佐伯友哉さん(31歳)は、2年ほど前に入社し、不動産の仕事を始めるにあたってさまざまな人々に話を聞き回った。親戚の人を訪ねた時、経済価値のない原野を所有しているがどうにかしたい、という相談を受けた。

「価値がないことはわかっていましたが、売り出してみようと、ダメ元で売地として並べました。そうしたら、『ほかの不動産屋さんで断られたけど、扱ってもらえませんか』といった土地所有者からの連絡が入るようになりました」(佐伯さん)。通常、原野など経済価値の乏しい土地は扱わない不動産屋が多い。

原野商法の舞台の1つとなった釧路湿原。約40年前に土地を購入した人、あるいは土地を購入した親から相続した土地を手放したい、と思う人は多いようだ。照井さんが最近、取得した土地の元持ち主も、そのような人たちだった。

原野商法で湿原の土地を買った人たちのうち、「土地を手放したい」と思う人と、「固定資産税もかからないし、このまま推移を見たい」という人の割合はどのくらいなのだろうか。佐伯さんは、「いまは、半々ではないか」と見ている。

不要な土地だが、環境価値のある土地をどうするか

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