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ニッチを攻める京セラ「法人向けスマホ」のすごみ 専用アプリで医療現場の"働き方改革"にも照準

東洋経済オンライン / 2024年6月25日 8時0分

京セラの新型スマホは医療現場での使用も想定している(記者撮影)

清潔感あるホワイトの背面に込めたのは、病棟での普及を目指すという意気込みだった――。京セラは6月18日、法人向け新型スマートフォン「DIGNO SX4」を発表した。10月以降の発売予定で、同社の法人向けブランドの機種として初めて白色をラインナップした。

【画像】現場で数時間かかる作業が、専用アプリなら短時間で終わる

DIGNO SX4は汚れの付着がわかりやすく、ハンドソープで水洗いできる防水・耐薬品仕様を採用。マイナ保険証の読み取りや、外部へのアクセスが制限された施設内でも安定して通信できるsXGPにも対応した。ターゲットの1つとして想定するのが医療現場だ。

京セラの通信機器事業は2022年度から2年連続で赤字を計上。消費者向け製品からの撤退を2023年に表明済みで、BtoB(企業間取引)主体に舵を切った。同社によると、高耐久に特化したモデルが建設や運送などの業種に好評で、2024年度は黒字へ転換する見込みという。

薬の種類を瞬時に判別

新たな成長領域として注目したのが、いまだにPHSが主流とされる病院内の業務用端末というわけだ。AIとセンサー技術を活用したアプリケーションも開発しており、全国に数百万人いる医療従事者の取り込みを狙う。

「アレジオン」。包装された錠剤の上にスマホをかざすと、画面にすぐさま薬品名が表示された。物体を認識するAIで形状を読み取り、データベースと照合。何の薬なのかを瞬時に特定する新技術だ。複数の種類が同じ袋に入っていても、それぞれを同時に判別できる。

病院では患者が入院する際に持参した薬を、看護師や薬剤師が1つ1つ目視し、日々の投与量などを確認している。1~3時間ほどかかるという面倒な作業が、このアプリを使えば短時間で済む。電子カルテとも連動できるため、個別に品目を登録する手間もない。

6月18日の通信機器事業の説明会では、こうした開発中のソリューション製品4種も展示された。カメラで食器を映すと摂取した栄養量を算出したり、電波を用いたセンサーで患者の動作を記録したりするアプリを公開。いずれも2026~2027年ごろの実用化を目指している。

「デバイスだけで他社と差を付けるのには限界がある。現場の課題を解決する独自のアプリで付加価値を高めていきたい」

そう語るのは、通信事業戦略部でコ・クリエーションビジネスユニット責任者を務める原田正夫氏。現状の数字は非開示だが、通信機器事業の売上高のうち、ソリューションビジネスの割合を2026年度に約40%まで高める狙いだ。

iPhoneとは一線を画す戦略

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