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中国BYD「シール」正統派EVスポーツセダンの真価 奇抜さより真面目さが際立つ第3弾モデル登場

東洋経済オンライン / 2024年6月25日 14時0分

駆動モーター出力/トルクは、後輪モーター(永久磁石同期)が312PS/360N・m、ツインモーターも同様でこれに前輪モーター(かご形三相誘導)の217PS/310N・mが加わる。もっとも、この値は最高出力であって、これとは別の値である定格出力が一般的な走行時の出力となり、この定格出力の値をどこに定めるかによって走行性能と電費性能のバランスが図られる。BYDのBEVは、この設定が絶妙で実質の電費性能に優れている。

ツインモーター仕様のシール AWDに試乗

まずはツインモーター仕様から試乗した。先に記したボディサイズよりも実車は短く、幅広に見える。フロントフード(車両前部にエンジンを搭載した内燃機関モデルのエンジンフードに相当)がストンと傾斜して低く構えていることからそう感じられた。

BEVの電費向上には高効率化とともに、各種の損失を減らすことが重要になる。なかでも空気抵抗の低減は効果的といわれるが、シールでは空気抵抗係数を抑え、同時にセダン形状であることから全高を1460mmとして前面投影面積を小さくした。さらに低い車高との相克関係にある居住性能の確保は、BEV専用の「e-プラットフォーム3.0」のシャーシ技術を用い、車内のフロアを低くすることで対応した。

ドアノブは電動格納式で、ノブにあるリクエストスイッチ操作でポップアップするが、電費性能向上にとってはそれほど効果がないようだ。欧州プレミアムブランドも採用する電動格納式ながら、いわゆる先進感の演出手法なのだろう。

さっそく、乗り込む。シールの第一印象は非常によかった。シックな色使いで上質なタッチを随所に感じさせたからだ。これまでATTO 3やドルフィンに試乗する機会を得ていたが、明らかに演出過剰。これが遊び心なんだと理解はできるものの、ポップすぎる色合いやHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース:人間と機械の間で情報をやり取りする部分やシステムの総称)特性を度外視したかのようなスイッチの配置、さらにはギターの弦を模したドアの加飾はやりすぎた感があった。

一転、シールのインテリアには欧州プレミアムブランドとは異なるBYDならではの独自色が見いだせた。ダッシュパネルやドアパネルにはバックスキン調の生地をあしらいながら、立体的な面構成と横方向に伸びる複数のラインを組み合わせ、広さと奥行きを無理なく演出している。

天井にはパノラミックガラスルーフが標準で装備されるが、このガラス面積がとても広くて開放感にあふれる。試しに後席に座ってみると、景色が頭上のすぐ上を流れていく。SUVやミニバンにもこうしたガラスルーフは見受けられるが、天井が低めでガラスとの距離が近いセダンボディでの体験はとても新鮮。そのパノラミックガラスルーフには全面を覆うソフトタイプで軽量の遮光ネットが備わり、使わない際にはトランクルーム(前50L、後400L)に折りたたんで収納できる。

予想どおりの過激な加速力、サスセッティングも秀逸

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