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中国で「サイゼリヤ」に行列ができる秘密 節約志向が追い風に、現地限定のメニューも

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時0分

中国本土では、398店舗を展開中(2024年4月時点)。景気が停滞気味の中国では、やはりコスパよくイタリアンが食べられるというのはありがたいようで、筆者らが店を出る昼の12時半ごろには店内は満席。店の外にまで行列ができているという盛況ぶりだった。隣の席に座る家族も頼みたい料理を好きなだけ頼んでテーブルはたくさんの料理で溢れかえっていた。

かなりリーズナブルに感じる価格設定

せっかくなので、筆者が住む香港にある香港島側の北角(ノースポイント)のサイゼリヤにも足を運んでみたところ、こちらは店内の装飾も日本とほぼ同じようなつくりになっていた。香港にいながら日本のサイゼリヤにいるような気分にさせてくれるところも(日本人的には)嬉しいポイントだ。

ミラノ風ドリアが30香港ドル(約600円)、マルゲリータも30香港ドル、黒胡椒ハンバーグは35香港ドル(約700円)。中国本土や日本のサイゼリヤと比べると一見高く感じるが、そもそも香港は生野菜や、輸入に頼る乳製品など、なにかと食材費が高い。香港在住者からするとかなりリーズナブルに感じる価格設定だ。

店内を見渡すと、やはり高校生のような若者から家族連れ、年配層まで満遍なくさまざまな客層が訪れており、香港でも幅広い層にリーズナブルにイタリアンを楽しめる場所として認知されているようだった。

さてここまで、中国本土の現地の様子を中心に紹介してきた。今度は戦略面から、人気の秘密を分析してみよう。

サイゼリヤが上海に中国1号店をオープンしたのは2003年12月。1990年代に中国進出した吉野家、味千ラーメンの成功に加え、2001年12月にWTO(世界貿易機関)に加盟したことで中国市場の潜在力が注目され、日本の外食企業の最初の中国進出ラッシュが起きた時期だ。

2000年代前半はリンガーハット(2002年)、カレーハウスCoCo壱番屋(2004年)、ワタミ(2005年)、ペッパーランチ(同)などが進出したが、中国人消費者の食文化が今ほど多様化していなかったことや、安いローカルフードを提供する現地チェーンの急成長もあって、いずれも思うようには店舗を増やせなかった。

サイゼリヤも例外ではなかった。洋食文化が根付いておらず、知名度もゼロ。苦戦を強いられた同社は、大半のメニューを半額程度に値下げした。

その結果、価格競争力が一気に向上し、新しもの好きの若者がこぞって訪れるようになった。この“英断”が功を奏し、サイゼリヤの中国本土の店舗は2013年8月期末までに150店舗を超え、吉野家、味千に続く成功例となった。

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