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中国で「サイゼリヤ」に行列ができる秘密 節約志向が追い風に、現地限定のメニューも

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時0分

新規出店と並行し、広州に自社工場を設立したり、比較的テナント料の安いエリアに店舗を出すなど、コスト削減の取り組みも進めた。

大学生だった2000年代後半に北京のサイゼリヤに通っていた30代中国人女性は、「首都の北京でも洋食の料理店は少なかったし高かった。高級料理のイメージがあるイタリア料理を、学生のお小遣いで食べられるサイゼリヤに行くのは新鮮な体験だった」と懐かしむ。

景気低迷による節約志向が追い風に

コロナ禍が収束した2023年春以降、中国本土のサイゼリヤは再び上昇気流に乗っている。景気低迷による節約志向を追い風に、圧倒的なコスパの高さが改めて注目されているからだ。

同じ「大衆イタリアン」のセグメントに属するピザハットと比べても、ピザやサラダ、パスタの価格はおおむね3分の1と、値頃感が際立つ。

サイゼリヤの安さの秘密を解説する動画の拡散などを機に、初めて同社が日本企業だと知る人も少なくない。

「敵がいない」と言われる安さの一方、利益はしっかり確保している。サイゼリヤの2024年8月期の中間決算(2023年9月~2024年2月期)で、営業利益は前年同期の9億円から約6.5倍増え59億円に達した。中国本土市場の売上高と店舗数は全体の約25%だが、営業利益は40億7400万円と70%弱を占める。

同社は円安や物価高の逆風を受け、日本ではほとんど利益が出ていないにもかかわらず、値上げを我慢している。

だが、経済成長が長く続いた中国本土では価格転嫁に対する消費者の許容度が大きく、景気悪化が言われるこの1、2年も値上げができている。

ニールセンIQが中国人消費者を対象に2023年7月に実施した調査では「今後、支出全体を厳しく管理する」との回答が43%、「最もお得な価格、より低価格の消費を目指す」との回答が37%に上った。

トリドールやワタミも中国再進出

コロナ禍に中国本土から撤退した丸亀製麺の運営会社であるトリドールホールディングスとワタミはこの春、相次いで再進出した。消費者の節約志向を意識し、トリドールは豚骨ラーメン「ずんどう屋」、ワタミは居酒屋店「三代目鳥メロ」と、グループの中で値頃なブランドを出店した(過去記事:丸亀製麺のトリドール「ラーメン」で中国に再挑戦)。

サイゼリヤは競争が激しい中国でも、デフレの日本で培った低価格と品質のバランスで客を引き付けている。ワタミとトリドールは後に続けるだろうか。

阿生:ライター

浦上 早苗:経済ジャーナリスト

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