サマンサタバサ「上場廃止」で迎える新たな正念場 憧れの平成ブランド、コナカと統合で復活狙う
東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時50分
平成を象徴するブランドがついにマーケットから姿を消す――。
女性向けのバッグやアパレル、ジュエリーを展開するサマンサタバサジャパンリミテッド(以下サマンサ)は6月27日に上場廃止する。7月1日にサマンサは同社の株式を59.1%保有する紳士服チェーン・コナカとの株式交換を経て経営統合し、コナカの完全子会社になる。
サマンサは積極的に著名な海外セレブやモデルを広告に起用し、10~20代女性が憧れるブランドとしての地位を築いた。だが、2014年度の当期純利益14億円をピークに業績は低迷し、2023年度で8期連続の当期純損失を計上。店舗数も2015年度の438店から2023年度に225店まで縮小した。
サマンサはコナカとの経営統合によって業務効率化や構造改革を実行し、収益回復を急ぐ構えだ。苦戦が続いたブランドを復権できるのか。
平成の若者の間で人気ブランドに
同社が展開するバッグブランド「サマンサタバサ」は2000年代から2010年代半ばにかけて10代から20代女性の間で一世を風靡した。サマンサは2019年まで社長だった創業者・寺田和正氏のトップダウン経営で事業を成長させてきた。
海外セレブや歌手、モデルを起用するプロモーションでブランドの知名度を向上させ、若い女性が憧れるブランドとしての地位を確立した。過去にテレビCMで起用されたのはビヨンセ、ミランダ・カー、蛯原友里といった名だたる著名人たちだ。
出店場所にもこだわった。表参道や渋谷といったファッション一等地のビルや路面店に出店。自社が広告に起用する著名人のイベントをクリスマスなどの時期に店舗で開催するなど、話題作りにも事欠かなかった。
イメージ戦略は成功していた。バッグの価格帯は2万円以上と若年層にとって安い買い物ではない。お祝いやギフトで買ってもらい、通勤・通学用のショルダーバッグ、長財布などを使っていた人も多かったようだ。
サマンサの人気の理由について、全盛期を知る元社員は「流行していたキラキラのかわいいデザインとサマンサの商品のデザインが合致していた」と振り返る。実際、ピンクのほかに白や黄色、水色といったカラフルなバッグが登場していた。
だが、勢いも徐々に弱まっていく。得意としてきた著名人を起用する広告戦略が曲がり角を迎えたのだ。海外のインフルエンサーや歌手を起用した広告を打ち出しても、2016年度以降の業績は右肩下がりが続いた。
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