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ドンキ「ほぼバイトで営業」店を密かに増やす事情 昨年10月から実験開始、現在は都内5店で展開

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時40分

「正社員0.5人」で運営されている「ドン・キホーテ」北千住西口店(記者撮影)

東京・足立区のターミナル駅、北千住駅の西口から伸びるアーケード街を5分ほど歩くと見えてくるのが、総合ディスカウント店「ドン・キホーテ」(以下、ドンキ)北千住西口店だ。

【図解】ドン・キホーテ北千住西口店の「メイト主体」運営体制

ドンキにしてはやや小型という点以外、通常店と何ら変わらない。だが同店では、2023年10月からある取り組みが進んでいる。「メイト主体運営」。ドン・キホーテを傘下に持つパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスとしても、初めての試みだ。

従業員94名のうち正社員は店長のみ

メイトはドンキの社内用語でパート・アルバイトのこと。そのメイトが、文字通り店舗運営の主体となるのが「メイト主体運営」店だ。この取り組みは、足立区と荒川区の一部を管轄する東京第1支社が中心に進めている。

北千住西口店はドンキとしては小型でも、総売場面積は約1000平方メートルと一般的な食品スーパーの半分程度ある。総従業員数は94名に上る。

通常店では店長や副店長のほか、商品カテゴリーごとに数値責任を持つ正社員が常駐する。北千住西口店は4つのカテゴリー(食品、アパレル、日用消耗品、コスメやコンタクト類)を展開しているので、通常は5~6人の社員がいるはず。

しかし、同店は、店長以外はすべてメイトで運営されている。しかも唯一の正社員である店長は、2024年4月に開業した鶯谷店の店長を兼務する。つまり、北千住西口店は、実質上「正社員数0.5人」の店舗なのだ。

ドンキは業界でも非正規従業員の裁量が多いことで知られる。メイトにはそれぞれが担当する売り場ごとに数値目標があり、それを達成するために何をどれくらい仕入れて、どのように陳列するかも任されている。そんなドンキにあっても、店舗運営の要を担う正社員がほぼゼロの北千住西口店は異例だ。

小売業界にとって、人手不足への対応が喫緊の課題であることは言をまたない。この1年間で24店の新店を出し、来期(2025年6月期)も同程度の出店を計画するドンキにとってはなおさらだ。

既存店も人手不足が常態化。渋谷などの都心部は、訪日観光客増加の追い風もある。繁忙対策のために、周辺の支社から正社員を送り込むことがままあり、北千住西口店管轄の東京第1支社からも都心店へ相当の数の正社員を送り込んだという。

「売り上げの見込めるエリアに人を厚く配置するのは企業として当然。一方で、社員数には限りがある。どうすれば」(東京第1支社の本巣誠支社長)。悩んだ末に本巣氏が考えついたのが、メイト主体運営だった。

メイトが実力を十分に発揮できていなかった

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