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ホンダ「CB650R/CBR650R」止まらない進化の理由 世界初搭載のHonda E-Clutch誕生の開発秘話

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 9時30分

仕事柄、国内外の二輪車、四輪車、商用車に試乗しているため愛車の走行距離は所有年数からすれば少ないが、それでもDCTモデル2台合わせた距離は地球1周ぶんを優に超えた。DCTはクラッチレバーがなくシフトペダルも存在しない。いわゆるAT感覚で乗れるが、筆者は左足のシフトでDCTギア段の制御ができる純正アクセサリーの「チェンジペダル」を装着している。

DCTとE-Clutchの違い

DCTは、偶数ギア段用と奇数ギア段用のクラッチセット2つを使いわけて瞬時に変速を行い、エンジンの力を駆動力に変換する。そのため変速時の駆動トルク抜けが非常に少なく、MTモデル以上に素早いギア段のアップ&ダウンシフトが行える。ただし、仕組みが複雑でトランスミッション単体としても大きく重く、二輪車向けのトランスミッションとして採用するために、膨大な開発工数がかけられた。

一方のHonda E-Clutchは、DCTのイージーライディングの世界観をクラッチ操作レスという次元で実現した。実際、エンジンスタート時からクラッチ操作は不要で、レバー操作せずにシフトペダルを踏み込み1速へ入れてしまえば、あとはスロットル操作のみで発進する。

極めつけは緻密なクラッチ制御だ。ライダー歴36年になる筆者だが、思わず唸ってしまうほど極めてスムースに、まるでベテランライダーが行うようなクラッチ操作を見せつけたからだ。

シフトペダル操作を行うとHonda E-Clutchのシステムがライダーの変速意図を読み取り、エンジンの点火制御と燃料の噴射制御を行いながら、システムによる半クラッチ制御で絶妙な変速アシストを行う。ライダーからすればいつもの左手によるクラッチ操作を行っているかのように、自然なシフトアップやシフトダウンが行える。

渋滞路を想定して頻繁に発進、停止を繰り返したがHonda E-Clutchはまったく音を上げない。普段、MTに乗り慣れているライダーであれば、クラッチレバー操作がなくなるだけでこんなにも楽なのかと驚くだろう。

加えて10km/h以下の微速制御もすばらしかった。MTモデルでは、速度調節のためライダーはスロットル操作と後輪ブレーキ操作を連携させるが、ひとたび速度が下がりすぎた場合には、クラッチレバー操作を行う必要がある。こうした場面でもHonda E-Clutchはシステムによるクラッチ制御が絶妙で、自分ならこのあたりでレバーを握るかな、と感じたあたりでフワッと制御が介入しはじめる。

標準車とE-Clutch仕様の価格差

Honda E-Clutchは標準車であるMTから5万5000円高く、2kg車両重量が増えるが、筆者がCB650R/CBR650Rを購入するなら少しも迷わずHonda E-Clutchモデルを選ぶ。MTで欲しかったクラッチレバー操作の自動化が手に入るし、いつでもどこでも、ライダーの手動操作を受け付けてくれるからだ。

Honda E-Clutchは機構的にMTバイクであれば装着可能であるという。是非、さまざまな排気量/カテゴリーのバイクへの展開を期待したいです。そしてこの先、大きく育ててほしいと思います。

西村 直人:交通コメンテーター

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