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「授業中に奇声」底辺校生徒追い詰めた"家庭の闇" 若手教師が2つの低偏差値校の指導で見た光景

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 11時40分

「かつて指導した2人の女子生徒の話です。彼女たちはギャルのような風貌で、最初は僕が挨拶しても返してこず、無視して歩きスマホをしていました。

彼女たちはいつも上履きのかかとを折っていたので、会うたびに『かかとを折らないように!』と注意し続けていたんです。1年間、ずっと言い続けていたのですが、ある日、2人が私の前で立ち止まって、『先生、今まで叱ってくれてありがとうございました』と言ってくれたことがありました。

びっくりしたのですが、彼女たちの足元を見ると、初めてかかとを折らず、ちゃんと上履きを履いていたのです。彼女たちは続けて、『先生に言われていたことの大切さが、今になってわかりました。だからこれから、先生に叱っていただいたことを大切にしていこうと思います』と言ってくれました。嬉しかったですね。今のご時世、生徒に叱るというのは勇気がいりますが、内心、叱ってほしいと思っている子もいるのだなと改めて感じました」

「一度彼らからの信用を得られると、多くの子は、豊かなコミュニケーション能力を持っていて、真剣に頑張っている子たちなのだと気づけるようになりました」と当時を振り返った浜岡さん。

一方で、こうした指導の日々の多くは、「生徒が反抗する気持ちもわかるからこそ、メンタル的にも大変だったし、自分自身も傷つく部分がありました」とそのつらさを話してくれました。

勤務年数を重ねていくと、膨大な業務を抱えて時間がない中で、いじめにつながらないよう、生徒との相談の時間をどう確保するか、といった悩みを抱えるようになります。

学級崩壊にもならないよう、頭を悩ませる日々の中で気づいたのが、「教員も生徒のことを信じること」「生徒を見下さないこと」の2点でした。

生徒の意見をまずは聞くよう心がけた

「教員は生徒たちが学校の授業を素直に聞くものだと思い込み、生徒にも聞くことを求めます。しかし、教員が自分たちの主張を通すだけの姿勢は生徒にも伝わるのです。だからこそ私は、『まず与える』ことを心がけました。

例えば、生徒が問題行動を起こしたときに1対1で面談をするのですが、1回は生徒の意見がたとえ間違っていても、受け入れたうえで話を聞くようにしたのです。一方的に、抑えつけられて指導されてきた子が多かったので、人格を肯定し、話を聞いてあげる機会を設けるようにしました。

彼らは普段、溜まっていることがたくさんあるけど、相談できる大人が周りにいないのです。相手を尊重しつつ、僕自身が大事に思っていることを伝えたら、『教員とこんなに真剣に話ができると思わなかった』と言われたことが結構ありました。

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