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「授業中に奇声」底辺校生徒追い詰めた"家庭の闇" 若手教師が2つの低偏差値校の指導で見た光景

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 11時40分

お互いに自分の考えを伝えるだけで、『コミュ力高いっすね!先生!』と言ってもらえるので、今まで学生時代に人と話せなかった自分自身を思い出すと不思議な気持ちがします。そうした姿勢を続けていると、生徒も教員の話を聞くようになってくれます」

仕事の大変さに四苦八苦しながらも、彼らと過ごした日々を「素敵なものだなと思った」と振り返る浜岡さん。

ところがこの高校で5年目の勤務を終えたころ、同じ県内にある偏差値38の高校への異動辞令が下されます。

前の勤務先とその学校は偏差値が40以下で、県内でも中心部から少し離れた場所にある、という共通点がありました。その一方で前の学校とは異なり、浜岡さんの目には意欲的に学びたいと思う生徒が多いように映りました。

「前の学校との違いを私なりに、生徒の様子を見ながら分析していたのですが、結局は高校1年生のときに教員がどれだけ指導できたかがいちばん大きいのではないかという結論に至りました。

たとえば、教員が発言しているときに雑談している生徒がいたら、しっかり前を向いて、話を聞く姿勢をつくるなどの全体指導をしたり、家庭環境など生徒が抱える問題に向き合う個別指導をしたりします。

早い段階から生徒に誠実に向き合って、熱意を持った指導をしている先生がいる学年は、授業もしっかり聞いてくれる前向きな生徒が多いですし、それができていない学年の場合は、勉強や学校での活動に後ろ向きです」

インスタのフォロー外す、裏アカでの誹謗中傷

一方でガラスを割ったり、授業中に奇声を上げたりしていた生徒がいた前の学校とは異なり、今勤務する学校の子どもたちを見ていると、どこか繊細さを感じるそうです。それはおそらく、学校間の問題というよりは、時代による生徒の性質の変化が大きいのではないかと浜岡さんは考えます。

「授業を妨害するような活動が見られない一方で、ナイーブな子が多いと感じます。私が教員になった頃はまだ、小学校や中学校で、子どもたちが暴力を振るうことに対する指導もあり、そういう環境で育った子たちを高校でも指導していました。

一方で繊細になっているというのは、おそらく子どもの問題が、子ども同士の『殴る、蹴る』といった暴力的な問題から、SNSといったメンタル的な問題に変化したことが大きいかもしれません。

たとえば、4人グループの子のうちの1人が、Instagramのフォローをグループの友達3人から同時に外されたり、裏アカウントで誹謗中傷されたり、友達同士の居場所がわかるGPSのアプリの登録を解除されたりといった、SNSやアプリを通して仲間外れにされるケースが増えています。それで悩む子も、以前より明らかに増えました」

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