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老舗アパレルが「株主ファンドと泥試合」の全容 経営陣の総取り換え提案、混乱のまま総会当日へ

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 8時30分

ニューヨーカーやブルックス ブラザーズを展開する老舗アパレルメーカーが揺れている(編集部撮影)

創業140年余りの歴史を持つアパレルメーカーに危機が訪れている。

【図表で見る】11年連続で営業赤字!ダイドーリミテッドの業績推移

アパレルブランド「ニューヨーカー」や「ブルックス ブラザーズ」を展開するダイドーリミテッドに対し、アクティビストファンドのストラテジックキャピタル(以下、SC)が株主提案を行い、揺さぶりを掛けている。

内容は「取締役6名の選任」について。現在の経営陣をすべて入れ替えて、ブルックス ブラザーズ日本法人のCFOを務めた中山俊彦氏ら、SCが探してきた人材を新たな取締役に選任することを求めるものだ。

株主総会が開かれるのはきょう、6月27日。総会開催を目前に、ダイドーとSCの間で激しい応酬が続いている。

11年連続の営業赤字を抜け出せず

ダイドーの業績は極めて厳しい。

本社ビルの売却益などで純利益が黒字になった年はあるものの、本業の儲けを示す営業損益は2014年3月期以降、11年連続の赤字だ。コロナ禍で大きく傷ついたアパレル業界で、他社がリストラなどの構造改革をしながら少しずつ回復を遂げたのと裏腹に、今も赤字体質から脱却できずにいる。

それでも現在まで生きながらえてきたのは、旧工場跡地に開発した商業施設などからの安定した賃貸収入があったことが大きい。

2006年には一時1800円を超えていた株価も、2022年には10分の1以下の130円台をつける事態に。PBRも1倍を割り込んでいた。そこに目をつけたSCは2022年度下期から市場内で買い付けを始めた。その後も買い増しを続け、2024年3月末時点で議決権の32.2%を保有しているという。

SCの株主提案は、行使された議決権の半数以上が賛成すれば成立する(過半の賛成率を得た取締役候補が取締役の定員数を上回った場合を除く)。すでに3分の1弱をSCが握っている以上、可決も現実味を帯びる。

SCは4月に株主提案を発表して以降、長く業績を改善できなかった経営陣の無策を指摘するとともに、2023年に行った本社ビルの売却と賃貸用不動産の取得も「資本効率の改善に寄与せず、赤字継続への批判を免れるために(売却益により)会計上の最終損益を黒字化させることが目的だった」と批判してきた。

対するダイドーは5月20日、2027年3月期までの3カ年を対象にした中期経営計画を策定し、初めて公表した。2027年3月期に売上高360億円(2024年3月期は287億円)、営業利益15億円(同4億円の赤字)を目指すという。ブランド価値が失速しているニューヨーカーは売上拡大を目指さない一方、ブルックス ブラザーズでは新規出店やECへの投資を通じて成長を狙う。

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