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老舗アパレルが「株主ファンドと泥試合」の全容 経営陣の総取り換え提案、混乱のまま総会当日へ

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 8時30分

直後の5月24日には、経営陣の刷新も表明した。コンサル会社のCEOであり、中期経営計画の策定にも関わった山田政弘氏を代表取締役CEO候補として提案し、同時に現在の社長らは経営から退くとした。

東洋経済の取材に応じた山田氏は「これまでマーケットに対する情報発信が足りなかった。中計は細かい数字を積み上げた必達目標だ」と話す。

SCの提案は「会社に失礼だ」

ただ、SC側は納得していない。

ダイドーが新取締役候補を発表後、即座に反対を表明。CEO候補の山田氏は兼職が多く、経営に専念できないうえに実績もないこと、コンサルとして利益相反関係にあることなどを指摘した。中期経営計画も実現性が乏しいとして、SCの株主提案に賛成するよう株主に呼びかけた。

様相は混迷の度合いを深めていく。ダイドーはSCの主張に対して反論する文書を発表。SCの株主提案こそが不適切な主張であるとして、株主に対し会社提案への賛同を強く呼びかけた。山田氏はSCの主張に対し、「正直言って会社に対して失礼だ。明確な事業計画もなく、会社のことを考えた取締役選任案ではない」と憤る。

会社提案の採否が予断を許さない状況下で、ダイドーはなりふり構わぬ行動に打って出ている。

6月に入ると、ダイドーは議決権行使助言会社が会社提案への賛成を推奨していることを紹介したうえで、YouTubeに自社の主張を紹介する動画を投稿。さらにダイドーの労働組合やブルックス ブラザーズ従業員がSCの提案に反対意見を出したことなどを公表した。

SCが提案する取締役候補の中山氏は、ダイドーが展開するブルックス ブラザーズでCFOを務めた経験があるものの、従業員からの評判がよくないという。意見書では、中山氏が取締役になれば「事業面や職場で大きな混乱を抱えることになる」と主張した。

株価情報サイトに動画へのリンクを載せた広告を打つなど、拡散にも力を入れた。SNS上でも話題になり、6月26日時点で21万回以上再生されている。こうした情報発信に対する力の入れように、SC側は「費用の無駄」として反発している。

法廷闘争にもつれる可能性も?

株主総会直前になっても応酬は収まる気配を見せない。6月21日、SCはダイドーが電子投票済みの株主に対して「(SCの提案に賛成した投票は)間違いではないか」と電話をかけたと主張する声明文を出した。事実であれば、株主総会の公正性を阻害する行為だ。ダイドー側はこうした行為を「一切していない」としており、双方の主張は真っ向から対立している。

この問題について、SCは株主総会に際して設置された総会検査役に報告したうえで、電話を受けた株主からは「裁判になった場合には協力する」という意向も取り付けたという。総会の結果次第では法廷闘争にもつれる可能性もある。

混乱の渦中で株主総会当日を迎えるダイドー。だが、今回のSCの株主提案がなければ、赤字を放置した経営陣はそのまま残留し、中計も公表されなかった可能性が高い。仮に会社提案が可決したところで、新経営陣には長らく染みついた赤字体質からの脱却という難路が待ち受けている。

高橋 玲央:東洋経済 記者

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