ソフトバンク孫氏が超知能「ASI」にご執心な理由 癌や事故をなくして人類をより進化させる
東洋経済オンライン / 2024年6月27日 10時0分
ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏は6月21日、いつになく晴れやかな表情だった。人工知能(AI)、特にASI(Artificial Super Intelligence)の実現に向けた強い意欲を打ち出したのだ。
【写真で見る】孫氏の言う「ASI(Artificial Super Intelligence)」とはどのようなものか?
ASIをどう実現するのか。方法論をここ1年、「複雑な連立方程式」を考え続けていたのだという。1年間右脳をフル回転させ続けた結果、株主総会の当日に「今日の今朝4時、グーッと解けた」とまさに熱も覚めやらぬ様子で語った。
「人間の1万倍賢いAI」がASI
AIが高度化し、人間のような知能を備えた状態を「AGI(汎用人工知能)」という。人間並みの知能を持ち、人間のようにさまざまなタスクをこなせるようになる状態を指す。孫氏が熱っぽく語る「ASI」は、AGIがさらに高度化した状態であり、具体的な定義は存在しないが、孫氏の定義によれば「人間の1万倍賢いAI」をASIだという。
そして孫氏によれば、ASI社会は10年後に到来するのだという。まず、人間並みに高度なAGIが実現し、AGI同士で討論しあって性能を加速度的に高め合う。その結果として人間の知性を格段に上回る超知性(ASI)が誕生するというシナリオだ。
孫氏は、ASIがもたらす未来社会の変化について、「ガンで亡くならないようにしたい」「事故を1万分の1に減らす」など、具体的な例を交えて語った。ASIは個々のメンター、あるいは師範のような存在になり、人間が成長するうえで支えとなる存在になるとも説明している。将来的にはASIのような超知性が人間の為政者よりも安全な政治を実現する可能性まで示唆している。
ソフトバンクが持つASI実現の“パーツ”
孫氏は、ASIの実現こそ「ソフトバンクの使命、僕の決意、ソフトバンクが生まれた理由」だと熱く語った。
その筆頭は、半導体設計で世界をリードするArm(アーム)だ。アームはスマホ向けチップの設計図として99%以上の採用率を誇っており、世界中のスマホで同社の技術が使われているといっても過言ではない。
低消費電力のチップ設計を得意とするアームの設計図は、AIチップにも多く採用されている。GoogleやMicrosoft、AWSなどのIT大手のデータセンター向けチップがその例だ。そして時価総額で世界最大の企業となったNVIDIA(エヌビディア)のデータセンター向けチップセットにも採用されている。
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