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日本の主権を侵害する香港当局を政府は許すのか 香港の民主・人権活動家が日本に向かわない3つの理由

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 12時0分

そして、そうすることで、圧政下の香港社会にいる専門的な企業人をもっと日本に招き入れることができると訴えた。

そのような状況下でも、阿古教授は、中国や香港の知識人や言論人の東京大学への受け入れで尽力してきた。

受け入れ体制の整備が必要

阿古教授は6月20日の記者会見で、その受け入れのための資金源がアメリカの団体であることを明らかにした。

そして「本来であれば、日本もそうした知識人や言論人を受け入れるための資金を確保すべきだし、香港の方々を難民として受け入れる体制も整えるべきだ」と指摘する。

「日本は移民や難民の問題をもっと根底からしっかり捉えていかなければいけない。そのためには人権をもっと普遍的な観点から捉えるべきで、政治や外交のその時々の利益で振り回されていけはいけない」と訴えた。

阿古教授は、香港民主派の元立法会議員で東大博士課程に在学中だった區諾軒(アウ・ノックヒン)さんが2021年1月に香港帰国後に、国安法違反容疑で逮捕されたケースも紹介した。

區さんは東京大学大学院博士課程にそのまま在籍することもできたものの、香港にいる妻が日本に来ることができなかったため、香港に帰国し、逮捕された。

阿古教授は「もし日本政府が區さんの奥さんを早く日本に来させることができていたならば、區さんは香港に帰っていなかったかもしれない」と無念さを募らせた。

日本では自民党保守派を中心に、ウイグルやチベットなどでの中国の人権弾圧を追及する議員が多い。それほど人権を重要視するならば、故郷を追われるように逃亡している香港活動家らの日本への移民や定住化に向けた受け入れ体制を、欧米並みにしっかりと法的に整えるべきではないのか。

中国の人権問題を、たんなる中国叩きに使っていないか。日本はもっと亡命支援活動や人権救済の動きに積極的になるべきだろう。

主権擁護の意識の低さ

3つ目のポイントは、日本の自らの主権擁護の危機管理意識の低さだ。
中国政府に批判的な香港紙として知られた蘋果日報(アップルデイリー)の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏の香港国安法をめぐる裁判で、共謀者の1人として元衆議院議員で弁護士の菅野志桜里(しおり)さん(議員時代は山尾姓)が香港当局から名指しされた。

しかし、菅野さんは黎氏とは面識が一切なく、SNS でコンタクトを取ったこともないと共謀を真っ向から否定している。

しかし香港検察は、菅野さんが国会議員当時の2020年、黎氏側の指示を受けた香港民主活動家である李宇軒(りうけん)氏と接触し、人権侵害を行った外国人や組織に対する入国制限や経済的制裁を定めた法律「マグニツキー法」の日本での制定についてイギリスの人権活動家らと謀議したとして、黎氏の共謀者と名指しした。

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