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AI時代にこそ必要となる「IQ以外の知性」って何? チャットGTPの答えを「正しくわかる」ための技

東洋経済オンライン / 2024年6月28日 21時0分

落合:いえ、大学1年生ですね。

生活から超越しすぎている複素数

暦本:たぶん理系の大学生でも、最初は「なんじゃこれは」と思うでしょ。見たことのない記号もたくさん出てくるし。微分に限らず、数学にはそういうところがありますよね。算数は、なんとなく身体感覚でわかるんです。円周を直径で割ったものが円周率とか、その求め方はわからなくても、何の話をしているかはわかるじゃないですか。

でもイプシロン─デルタとか、あるいは複素数などは、生活から超越しすぎていてわけがわからない。

もっとも、生活に密着しているはずの実用的な概念でも、身体感覚ではわからないものもあります。金融の「複利」なんかがそうですよね。利息を元本に組み込むので、エクスポネンシャル※2に増えていくんだけど、直観的には毎年同じ額だけ増えていくような気がするんです。

たとえば小学1年生が幅跳びか何かで30センチ跳べたとして、「明日から毎日1パーセントずつ距離を伸ばそう」といわれたら、とりあえず次は3ミリだから、できそうな気がするじゃないですか。でも、次の1パーセントは3ミリより長い。本当に1パーセントずつ記録を伸ばしたら、卒業までに月まで届いちゃうかもしれないわけです(笑)。

複利計算とはそういうものですけど、これは直観的にはわからないので、教育で身につけるしかないでしょうね。

その概念が身についていないと、会話が成り立たないこともあります。コロナ禍のときも、両対数グラフ※3が理解できないために、おかしな状況分析をする人がいました。AIという家庭教師がいても、そういう数学的な概念がわからないと、教わったことの意味がわからないかもしれない。投げる質問もトンチンカンなものになるだろうし。

※2 エクスポネンシャル(指数関数的) 「y=a^x」を、aを底とするxの指数関数という。その特徴は「倍々ゲーム」で値が大きく変化すること。これを「エクスポネンシャルな変化」という。人間は直観的にグラフが1、2、3、4……と直線的(リニア)に変化すると感じやすいが、指数関数的変化では1、2、4、8……といった具合に増え、途中から急激に値が大きくなる(1から始まった直線的な変化がになったとき、エクスポネンシャルな変化では1024になっている)。

※3 両対数グラフ 縦軸と横軸がどちらも対数スケール(対数目盛り)になっているグラフ。対数スケールのグラフは、目盛りごとに値が倍々で増えていくので(ふつうのグラフが目盛りごとに10ずつ増えていくとしたら、対数グラフは目盛りごとに10倍、100倍、1000倍……と増えていくイメージ)、桁数が大きく異なる値の変化をおおまかに把握しやすい。ただし対数スケールの意味を知らないと、倍々の変化を直線的な変化だと勘違いしやすいので、注意が必要。たとえば「10」と「1万」は大きく離れた値だが、対数スケールでは「1」と「4」になるので、近い値に見えてしまう。

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