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「モノ屋敷の実家を片付け」嫌がる母と攻防の顛末 「絶対に捨てられない母」をどう説得したのか

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 13時0分

「いざ見積もりをするとなると、母は『今日は体調が悪い』とか、『今日は暑いから業者の方に申し訳ない』とか、何かしらの理由をつけて先延ばしにするんです。そんな形でズルズルと5年が経ってしまいました」(息子)

そして、5年をかけてついに見積もりが完成。その際は母親も同席したが、作業日までの間にもともと優れなかった体調が急に悪化した。医者からは「即入院してください」と言われてしまったという。息子は片付けを続行するか悩んだ末、実行することにした。

「片付けは母が退院してからにしようとも思ったんですけど、それではまたズルズルと延期になってしまう。じっとしていても仕方がないので、思い切ってお願いすることにしたんです」(息子)

母親は実家の片付けに乗り気ではなかった。そのため、「1階部分には触らない」という条件で、片付けが行われることになったのだ。

今回の片付けは母親が高齢であることから、いわゆる「生前整理」に該当する。二見氏いわく、子が親に生前整理を促す場合は最後まで説得しきれないことも多く、むしろ説得できなくて当たり前だという。かくいう二見氏も、祖母の生前整理では大きな苦労を味わった一人だ。

「祖母は、『なんで私が死ぬ準備をするの?』としきりに言っていました。老人ホームに入所するとなったときも、合鍵を返してほしいと言うくらい片付けを嫌がっていました。『私が病院にいる間に部屋触るやろ』って。最終的には諦めるしかなかったですね」(二見氏、以下同)

二見氏の祖母の家も、今回片付けをする家と似た状況だった。生活の大半はリビングだけで完結しており、残っている3部屋はほとんど足も踏み入れない。そこにモノが溜まっていく一方だったが、部屋を使っていないので住んでいる本人は困らない。本人が生きている間は片付ける動機がなかなか生まれないのだ。

「私も祖母の気持ちはよくわかりました。老後になって趣味を楽しんで、植物をいじって、最後は好きなモノに囲まれて死にたいって思うでしょう。でも、その負担はすべて残された家族が背負うことになるんです」

たとえば高齢者が介護保険サービスを利用する際、ベッドを置くスペースを設けたりヘルパーの動線を確保したりするために、部屋の片付けが必要になってくる。その場合、自治体によっては片付けの作業に補助金が下りるケースがある。生きているうちに片付けるからこそ、金銭的な負担が軽減されることもあるのだ。

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