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「モノ屋敷の実家を片付け」嫌がる母と攻防の顛末 「絶対に捨てられない母」をどう説得したのか

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 13時0分

生前整理で「最優先にすべきこと」

二見氏の祖母は生前、子どもや孫たちに「葬式の費用はすでに払ってある」と伝えていた。しかし、実際のところ済んでいたのは基本料金の支払いのみで、花代などさまざまな費用が後からかかってきたという。僧侶に支払う戒名代も高くついた。

「祖母は生前に戒名代を払っていたんですが、『個人情報なので』と僧侶はその額を教えてくれなかった。結局、お気持ち代として追加で支払うことになりました。なんじゃそりゃって思いましたけど」

二見氏の場合、祖母の家の片付けは自社で請け負うことができたが、一般の人はそうはいかない。ましてや持ち家ではなく賃貸物件に住んでいた場合、遺品整理も含めて片付けがすべて完了するまで家賃を払い続けないといけない。

「生前整理というと、銀行や保険など多岐にわたる書類の整理を思い浮かべるかもしれませんが、もっとも負担になるのは家の片付けなんです。書類関係は電話一本で解決することもありますが、片付けに関しては身体を動かさないことには前に進まない。生前整理はまず使っていないモノを捨てていくことが最優先だと考えています」

“立派な大型家具”はゴミにしかならない

スタッフ4人で大型家具を次々と2階から外へ運び出していく。高齢者が住む家ほどしっかりとした高級家具が多くあるというが、そのほとんどが持ち主を離れた途端に価値を失ってしまう。

「高度経済成長期以降、住宅設計において収納スペースの確保が重視されるようになりました。一方で、高齢者の方たちは家を借りたり買ったりしたら、同時に収納家具も揃えるのが当たり前でした。

それこそ団地の設計図を見ると、収納家具は自分たちで揃えることが前提の間取りになっています。

でも、立派に見える民芸家具や婚礼家具は、今はほとんど値がつかず、残念ながらゴミとして扱われます。捨てるのももったいないので、タダ同然の価格で海外の貿易に回しているのが実際のところです」

売りに出しても0円にしかならないのでとっておきたいという人もいれば、どうせ0円なら今のうちに捨ててしまおうと思う人もいる。

親の気質によって左右される面も大きいが、生前整理は子どもの思い通りにはならなくて当たり前だと覚えておきたい。

だからこそ、ゆっくり時間をかけながらよきタイミングが訪れるのを待つしかない。この親子の場合、入院によって母親が一時的にでも家を離れたことが皮肉にもきっかけとなったのだろう。

國友 公司:ルポライター

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