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朝ドラ「虎に翼」後半戦がますます面白くなる根拠 「パイオニアとしての成功物語」からどう変わる?

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 11時0分

これらのスピーディーな展開は、「制作サイドが後半戦でたっぷり描きたい物語がある」ことの裏付けに見えるのです。

ではその本当に描きたいことは何なのか。それは、寅子が裁判官として慈悲深く子どもや女性を救っていくという物語でしょう。

(※下記、モデルとなった三淵嘉子さんの生涯に関する記述があります。『虎に翼』はオリジナルストーリーですが、ヒントになるような情報を避けたい人はご注意ください)

焦点は「子どもに向き合う寅子の姿」

弁護士だった頃の寅子は、断念せざるをえなかった盟友たちの思いや、女性の法曹界進出という大義を背負っていました。その後、弁護士の道を挫折したあと、出産・終戦を経て再び法の仕事を目指しましたが、動機は「貧困にあえぐ家族のため」。

奮闘が実って裁判官になり、生活がそれなりに安定したほか、家庭裁判所の仕事に携わったことで、寅子はつらい状況にさらされている子どもたちへの思いが強くなっていきます。

実は物語が折り返し地点に入る約1カ月前の第9週あたりから、その兆しが描かれていました。第41話で終戦後、疎開先から東京に戻った寅子は上野駅周辺でボロボロの姿で座り込み、大人に突き飛ばされる子どもたちに遭遇していたのです。

また、第57話では窃盗を繰り返す少年たちのリーダー・道男(和田庵)を見た寅子の母・はる(石田ゆり子)が、「ああいう子が日本中にいるのよね。この寒い中、外で眠っているのよね」「寅子からずっと話を聞いていたのに、あの子を見るまでずっと他人事だった。子どもたちを置いて亡くなった親御さんたちはさぞ無念でしょうね」と語るシーンがありました。

そのわずか2話後に、はるが亡くなったことも、このセリフが子どもたちに向き合う寅子にとってのきっかけだったことを物語っています。

実際の家庭裁判所が発足した当時、掲げられた標語は「家庭に光を 少年に愛を」でした。寅子のモデルである三淵嘉子さんは5000人を超える少年少女と対峙。彼らの話に傾聴し、犯罪を起こした背景をあげつつ、涙ながらに更生を訴えかけて本人や親などを涙ぐませるなど、定年退官するまでその審判に力を注いだことで知られています。

ちなみに三淵さんは、家庭裁判所に係属したボランティア団体「少年友の会」の設立にも尽力しました。その他でも各地で講演活動を行って理解を促すなど、少年少女の再非行防止や更生をサポートする体制を整えたそうです。そんな姿を好感度の高い伊藤沙莉さんが寅子として演じるのですから、ますます視聴者の共感が加速する可能性は高いでしょう。

「骨太な成功物語」から「感動の人情劇」へ

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