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「クレカタッチ」は交通系ICカードを駆逐するのか 熊本で「全国相互利用」離脱、一方で逆の動きも

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 7時30分

全国交通系ICカードから離脱する方針を示した熊本市電(記者撮影)

日常的に電車やバスを使う人ならほとんどが持っているであろう「交通系ICカード」。2013年にJR東日本のSuica(スイカ)やJR西日本のICOCA(イコカ)など全国10種類の交通系ICカードの相互利用が始まり、1枚のカードで国内各地の交通機関に乗れるようになった。

【一目でわかる】全国で相互利用可能な交通系ICカードと、エリア内で全国交通系ICカードが使える地域のカード一覧

その交通系ICカードの「縮小」ともいえる動きが話題となっている。熊本県内のバス・鉄道5社は5月下旬、2024年内にスイカなど全国交通系ICカードの取り扱いを終了し、代わりにクレジットカードのタッチ決済を導入すると発表した。広島県でも、県内の交通機関で使えるICカードが2025年春に姿を消し、一部の会社はQRコードを使った新システムを導入する。

一方で、新たに全国交通系ICカードを導入する地域もあり、交通系ICカードをめぐる動きは一様ではない。

「全国交通IC」離脱する熊本の事情

2024年内に全国交通系ICカードの取り扱いをやめるのは、熊本県内でバスや電車を運行する九州産交バス、産交バス、熊本電気鉄道、熊本バス、熊本都市バスの5社。一度導入した全国交通系ICのシステムから離脱するのは初といい、地元のみならず全国的に注目を集めた。

5社は全国交通系ICカードに代わる決済手段として、2025年春をメドにクレカタッチ決済を導入する方針だ。

ただ、「ICカードを完全にやめてクレカタッチ決済に移行する」わけではない。現在、各社のバス・電車では全国交通系ICカードのほかに熊本県内限定のカード「くまモンのICカード」が利用でき、こちらはサービスを継続する。

全国交通系ICカードの取り扱い終了を決めた理由は、システムの更新費用が高額なためだ。5社でつくる「共同経営推進室」の担当者は「コロナ禍で各社の経営が厳しくなったのが検討のきっかけだった」と話す。

バスは5社で約900台あり、全国交通系ICカード対応の場合は更新費用が約12億円かかるのに対し、くまモンのICカードとクレカタッチ決済であれば約6億7400万円に抑えられるという。

共同経営推進室の資料によると、5社のバス・電車の利用者のうちくまモンのICカードを使っているのは51%(2023年度)で、全体の半数を超える。これに対し、全国交通系ICカードの利用者は24%。各社が窓口などで販売しているのもくまモンのICカードだ。

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