若々しい人・老け込む人「休日の過ごし方」の違い 不安定な社会、「休養」が注目される納得理由
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 9時0分
突然ですが、あなたは今疲れていませんか?
世界でも珍しい「疲労研究」の第一人者による書籍『休養学:あなたを疲れから救う』がこのほど上梓されました。
本書によると、現代人の疲れは「単に体を休める」だけでは50%程度しか回復せず、100%に戻すには、あえて自分に軽い負荷を与え、「活動→疲労→休養」というサイクルに「活力」を加えた「攻めの休養」をとることが肝心だとされています。
早朝のジム通いなど、日ごろから軽めの負荷を取り入れた生活をおくるジャーナリストの佐々木俊尚氏は本書をどう読んだのか。前編に引き続いてお届けします。
活力なき日本、誰がいちばん疲れている?
世界と比較して「出世欲の低い日本」と言われるようになっていますが、そこには、出世することに対するコスパの悪さがあると思います。
管理職になっても大して給料が上がらない。残業時間がなくなるだけ、むしろ給料が減ったりもする。それでいて、面倒なマネジメントを押し付けられるのですから、みんな管理職にはなりたがりません。
かつての日本のように、出世によって得られる利点が乏しくなってきているわけです。逆にそれは、「平等ないい社会」と見ることもできます。出世することによって権力を得られる社会のほうがいいのかというと、そういうわけでもありませんから。
しかし、その「平等ないい社会」が、活力ある健全な方向に向かっていないのが残念に思います。多様性が広がり、誰もが生きやすい社会になってきたとは思うのですが、そのよさが社会であまり共有されていない感じがします。
若い女性がいちばん疲れているというデータがあるようですが、個人差もありますし、あらゆる年齢、あらゆる性別の人が疲れていることに間違いはありません。僕は、「いちばん疲れているのは誰か」を競争することには、あまり意味がないような気もします。
今の時代は、どちらがより弱者かを争う「かわいそう競争」が起きています。「シングルマザーはかわいそうだ。でも、『キモくて金のない中高年のおじさん』は、メディアにも無視されもっとかわいそうだ」という話になる。あまり健康的ではありませんよね。
かつては、元総理大臣の森喜朗のような「抑圧的な年配のおじさん」こそが強者のイメージでした。ところが、あのようなタイプの人は、実際にはもうほとんどいません。誰もが弱者であるという世界で、「自分こそが弱者だ」という争いが起きているのです。
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