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1年切った「大阪・関西万博」現地で感じた温度差 街中では賛否両論の声、産業界の受け止め方

東洋経済オンライン / 2024年6月30日 14時0分

その一方で、なんば広場を通りかかった20代会社員の男性は「費用がかなりかかっているけど、それと釣り合うイベントになるのか、万博にどういうメリットがあるのかよくわからない」と、いまだ情報が少ないことが関心につながっていないことを指摘した。

難波で開催していたイベントをたまたま見かけた人々の場合は、万博への知識がほとんどなく、関心も希薄だった。現時点ではこちらが大阪府民の中でもマジョリティなのだろう。

それと同時に「どうせやるなら楽しまなきゃ損」といった関西人らしい気質も感じられた。これから開幕が近づき、さまざまな情報があふれることで、万博へのポジティブな空気が伝播していくことも期待される。

こうした状況をイベントの主催者側は、どう感じているのだろうか。

2022年に設立された吉本興業や朝日放送テレビ、大阪ガスなどで構成されたチーム関西は、万博に向けてさまざまなイベント、プロジェクトを継続的に実施し、大阪の魅力を発信し続けている。

代表理事の福島伸一氏は、万博への現在の大阪の温度感に関して「地元の認知度はもちろん、関心、期待値とも非常に高いと感じています。街の中にミャクミャクの姿も目立ち始めているほか、何よりボランティアへの応募が定員の3倍近くありました。その応募者は、10代、20代が全体の約40%を占めており、これからの時代を担う層の関心と期待の表れかと思います」と手応えを得ている。

その一方で、その期待値は「まだ足りていないとも感じている」とも吐露する。背景には、冒頭でも述べたように、メディア上での万博関連のネガティブな論調が多いこともありそうだ。福島氏は「いろいろな報道がありますが、地元経済界も一生懸命に盛り上げようと努力しています。参加への期待値はこれから開幕が近づくに連れて上がってくると思っています」と前を見据える。

大事なのは「万博開催後」

チーム関西で目指すのは、万博開催までではなく、「万博開催後」の大阪・関西圏の地域振興だ。

「万博が開催される2025年、そしてそれ以降も、大阪・関西の都市魅力向上のため、さまざまな分野での活動に取り組んでいきたいと考えています」(福島氏)。

万博開催による瞬間的な経済効果だけなく、そこで示された“未来”を現実社会にどう落とし込んでいき、地域の経済と文化の発展および、よりよい社会の醸成へとつなげていくか。将来を見据えながら、すでにいろいろなプロジェクトが動き出している。

今回のシンポジウムとワークショップは、そこにつながる1つ。実際に体験することで興味を持ち、積極的に学ぶようになる子どもたちの姿が印象的だった。万博は目に見えない大きなものを来場者の心に残すイベントであり、それは子どもたちが担う未来の社会にも還元されていくように感じられる。

武井 保之:ライター

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