アップルが"魔法のような"使い勝手を貫く理由 動作にかかる待ち時間もワクワクさせてしまう
東洋経済オンライン / 2024年7月1日 13時0分
6月10日のWWDC24で、Apple IntelligenceというAI機能の搭載を発表したアップル。その特徴はさまざまだが、今回は”魔法のような”実装にこだわる理由を解説したい。
【写真で見る】アップルがアプリ開発者に提供しているHuman Interface Guidelinesは、50年もの長きに渡りアップデートされ続けている。
過去にも、Mac用のインターフェイス系デバイスの製品名の頭文字にMagicを付けたり、ウェブサイトの商品紹介キャッチコピーでも「魔法のような」という言葉を多用してきた。アップルの言う「魔法」とは何なのか?
iPhoneが使いやすいと感じる理由
なんとなく「iPhoneは使いやすい」と感じている人は多いと思う。そう思うのには、きちんとした理由がある。
アップルは昔から「どうすればユーザーが使いやすいか?」を定めるドキュメントをアプリ開発者に提供し続けている。そのドキュメント、「Human Interface Guidelines」は、50年もの長きにわたりアップデートされ続けている。
開発者向けとはいえ、一般にも公開されており、誰でも見ることができる。アップルが、いかに優れた使い勝手を実現するために努力しているかがよくわかる。アップルにとってデザインとは見た目の美しさのことではなく、洗練された使い勝手を意味するのだ。
例えば、ほかの人にiPhoneの使い方を教えるために、逆さまの向きでiPhoneを持った際、アイコンなどをタップしにくいと感じたことはないだろうか?
実は、iPhoneのディスプレーにグラフィックとして表示されるアイコンの位置と、実際タッチパネルとして反応する位置は若干異なっている。
具体的には、表示位置より“少し下”が反応するようになっているのだ。iPhoneを手に持って自然な位置で操作した際、快適と感じる反応位置を最適化している。よって、逆さに持って操作すると、いつもと違う反応になるわけだ。
また、英文字を入力するときのキーボードは、ダイナミックに反応位置が変化している。
英文をタイプする際、一般的な文章であれば、EやAなど母音の出現率のほうが高い。また、ある文字を入力したあとに特定の文字が来る可能性も変化する。
例えば、Qという文字の次には、かなりの確率でUが来る。Bの次はEである可能性が高く、Tである可能性はかなり低い。iPhoneの英文字キーボードの反応領域は、次に来る文字の確率に応じて、サイズが瞬時に変わる仕組みになっている。「Guidelin」とタイプすると、eのキーが反応する領域は、最大限にまで広がる。
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