日経平均「再度の4万1000円突破」は十分に可能だ 「米国利下げ後ずれ」「中国減速」のリスクは?
東洋経済オンライン / 2024年7月1日 9時30分
JOLTS(アメリカ労働省が発表する労働需要の動向を示す指標)求人統計では求人件数、失業者数に対する求人件数の割合、自発的離職率が低下しており、またNFIB(全米独立企業連盟)中小企業調査でも企業の人件費計画が下方屈折している。企業側からみれば、人手不足の解消よりも労働コスト削減の優先度が高くなっているのかもしれない。
FEDの利下げ遅れが株価下落のリスクとならないワケ
そして、ここへ来て8月に予定されている雇用統計の年次基準改定によって雇用者数が、昨年と同様に大幅な下方修正が加えられるとの見方もある。2023年の改定で過去1年の雇用者数が30万6000人分も下方修正された経緯があるため、今年も改定前後で労働市場の評価が変化する可能性には注意したい。
パウエル議長は、雇用者数の増加それ自体は移民の爆発的増加を反映したものにすぎないため、大きく取り扱わないとしてきたが、それでも雇用者数が大幅に下方修正されれば、9月FOMCの政策判断に一定の影響を与えるだろう。
そう考えると、早ければ8月22~24日の日程で予定されているジャクソンホール・シンポジウムでパウエル議長が何らかの形で利下げを示唆する可能性がある。ここまでをまとめると、FEDの利下げが遅れて株価が大幅に下落するリスクはさほど大きくないと言える。
次に中国経済をお金の総量から解析してみる。その代表的尺度である、社会融資総量(フロー)は、12カ月平均値が横ばいないしは下向き基調にあり、残高(ストック)は前年比プラス8.4%まで伸び率が縮小している。
社会融資総量とは銀行貸出に加え、株式・社債の発行、信託会社(≒シャドーバンキング)の融資などが含まれる広義の与信・流動性を示す尺度であり、そのGDP(国内総生産)比は中国当局の政策態度を反映すると言われている。
すなわち当局が景気刺激に前向きになれば政府債の発行が増えたり、銀行の融資基準が緩和したりして、お金が実体経済へ染みだしていく。また新規与信のGDP比(の前年差をとった数値)はクレジットインパルスと呼ばれ、日本株と一定の先行性を有することが知られている。正直なところ日本株との直接的な関係は不明確だが、大きくみれば6~12カ月の先行性が認められている。
中国のお金の量から見ると、日本株の楽観は禁物
仮に現在もその関係が維持されているなら、先行きの日本株は上昇の勢いを失う可能性があると言わざるをえない。ちなみに中国のクレジットインパルスをマネーサプライのM2(現金通貨と預金通貨と定期預金や外貨預金の合計)の12カ月先行に変えてみると、こちらは日本株の大幅な下落を示唆する波形となっている。
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