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「雨水で作ったビール」飲んだ人が口々に言った事 都会の雨水はビールづくりに向いているのか

東洋経済オンライン / 2024年7月1日 12時0分

雨水ビールを試飲するイベントの様子

えっ!意外にも爽やかで少しあまめの口当たり。それをホップやモルトの豊かな香りとうまみが追いかけてくる。これはうまいビールだ!

【写真で見る】都会の雨水で作ったビールの色は?

これは筆者が初めて「雨水ビール」を飲んだ率直な感想である。雨水ビールとは、雨を仕込み水として使ったクラフトビールのこと。「雨水でビールがつくれるの?」「大丈夫? 飲めるの?」などとツッコミが入りそうだが、雨水でここまでのビールがつくれるとは……。

そもそも雨は「天然の蒸留水」

雨水ビールが振る舞われたのは、梅雨入り直後の6月23日、東京都内(ビール工房新宿)で「雨水ビール乾杯イベント」。この日集まったのは、プロジェクト関係者や支援者など約40人。他の参加者にも感想を聞いてみる。「フルーティでスイスイ飲めてしまう」「柑橘系のさわやかさを感じる」などと参加者からは好意的なコメントが相次いだ。

今回のイベントを主催した「雨水ドリンクプロジェクト」を立ち上げたのは、水に関わる事業者、研究者、市民のグループ。中心メンバーの尾崎昴嗣さんが「雨水でビールをつくれないか」と思い立ったのはいまから10年も前のことだという。

そもそも雨は、「天然の蒸留水」といえるものだ。地球の表面からは絶えず水が蒸発し、水蒸気となって上昇していく。海、陸地の川や湖、植物の葉の表面からも、水はどんどん蒸発する。

水蒸気を含んだ暖かい水は、空高くのぼっていくうちに冷えて雲になる。雲の水滴は衝突して大きな粒になり、自らの重みで再び大地に降りてくる。これが雨だ。

雨は、降り始めこそ空気中の塵などといっしょに降りてくるので汚れているが、降りはじめて30分以上たつときれいになる。それを地面に落ちるまえにつかまえれば、水質はむしろ蒸留水に近い。

なぜって川の水や井戸水は流れながらいろいろな物質を溶かすけれど、雨の場合はそれがない。しかし、そうした長所に気づかれることは少ない。その一方で、「雨が降ると会社に行くのが憂鬱」「イベントが中止になってほんと雨むかつく」「洪水被害まで起こすので雨は怖い」などと短所ばかりが話題になる。

尾崎さんは、もっと雨水のよさを知ってもらいたい、もっと使ってもらいたい、飲んでもらいたいという思いで「雨水ビール」を構想し、のちにプロジェクトメンバーになる雨水市民の会の笹川みちるさんに相談したそうだ(笹川さんは記憶がないという)。けっして「ビールがたくさん飲みたい」という理由ではない。なぜなら尾崎さんは酒がまったく飲めないんだから。

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