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「消臭力」がトイレから寝室まで勢力を広げた本気 消臭芳香剤大手・エステー「家庭に6個は置ける」

東洋経済オンライン / 2024年7月2日 8時50分

エステーは睡眠ケアやペットケアなど新機軸を打ち出し、シェア拡大を進める(記者撮影)

トイレや玄関・リビングなどに置かれる「消臭力」が、ついに寝室の開拓に乗り出しているーー。

【図で見る】あなたは家のどこに「消臭力」を置いている?

家庭用の消臭芳香剤大手メーカー・エステーの「消臭力 プレミアム アロマ」シリーズの販売が好調だ。昨年9月に発売した「消臭力 プレミアム アロマ フォー スリープ」を筆頭に、2024年3月期の売上高は前期比128%と大幅に伸ばしている。

消臭芳香剤の市場自体はコロナ禍で拡大した後、成長が鈍化している。そんな逆風の中でもプレミアムアロマは500円前後と高単価ながら売れているのだ。エステーはどのように需要をつかんだのか。

芳香剤を置く場所はまだある

成長のカギは「新たな部屋」の開拓だった。家庭内の消臭力の置き場所は限られている。1~2カ所のトイレや、玄関とリビングに1つずつ使用しても、最大4つ程度にしかならない。

エステーが目を付けたのが、寝室の開拓だ。新たな使用シーンを生み出せれば、使用個数を増やせると考えた。とはいえ、消臭ニーズの強いトイレと同じ商品が、寝室で普及するとは考えにくい。

そこで、寝室での用途に合わせ、消臭だけでなく睡眠の環境を整える香りを訴求した「フォー スリープ」を開発した。

香料の研究を行うジボダン社のフレグランスオイルを配合し、パッケージも寝室で違和感のない落ち着いたデザインを採用した。

ターゲットは軽い寝不足などの悩みを抱える20~30代の若年女性。ほかの日用品市場でも、夜間の美容をアピールした高単価なシャンプーが売れるなど、睡眠時のケアの需要が高まっていることに着目した。

エステーはこれまでテレビCMによる広告が中心だったが、動画広告の配信や、SNSでの発信で若年層への認知を広げるなど、ネット広告の比率を高めてアピールしている。「(動画などネット広告を)継続的に配信することにより、購買を促進してきた」(エアケア第2チームの河内ともみチームリーダー)という。

上月洋社長は消臭力の拡大余地についてこう語る。「部屋の数を考えれば、本来6個程度は消臭芳香剤を置けるはず。今後は書斎や子供部屋なども狙えるかもしれない。パーソナルな空間での集中力の向上や、ストレス緩和といった付加価値は受け入れられると期待している」

かつて柔軟剤市場も「柔らかくする」機能に香りという価値が加わり、市場が拡大していった。消臭芳香剤でも、それぞれの部屋のニーズに合わせた香りの開発やコンセプトづくりがカギになりそうだ。

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