医薬品の販売規制案にドラッグストア反発の事情 市販薬のオーバードーズ問題に有効な規制とは
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 12時0分
若年層を中心に社会問題化している市販薬のオーバードーズ。来年に薬機法改正を見込む医薬品販売制度に関する議論が進む中、厚労省が事前に示していた「とりまとめ」の内容に、ドラッグストア業界やネット事業者が懸念を示している。
【画像】市販薬の規制案に対する日本チェーンドラッグストア協会の資料
ドラッグストア業界が反対の背景
6月6日に開かれた厚労省厚生科学審議会「医薬品医療機器制度部会」(制度部会)に、参考人として出席していた日本チェーンドラッグストア協会理事(当時)の森信氏は、「(OTC薬の)9割を売っている」というドラッグストア業界の意見が伝えられていないと訴えた。
「検討会とりまとめで提言されています購入者情報の記録・保管、いわゆる空箱陳列、これについては絶対に実行不可能でございます」(森氏)
市販薬のオーバードーズ問題に対して、厚労省としては何らかの規制強化は必要との立場だが、 “濫用薬”の対象は現在、ドラッグストアにとっても稼ぎ頭である総合感冒薬約1500品目超が対象となるため、ドラッグストア業界にとって規制強化は容易には受け入れられない。
具体的には2024年1月12日公表された「とりまとめ」のうち、“濫用薬”の販売における「手の届かない場所の陳列」と「購入者情報の記録・保管」にドラッグストア業界は反対している。
「手の届かない場所の陳列」に関しては、カウンター奥への陳列(店頭では空箱陳列)、あるいはシールドに鍵をかけるなどの対応が想定されているが、ドラッグストア業界は前者については、総合感冒薬は棚3本分あり、「カウンター奥のどこにそんな場所があるのか」と反発。
後者については、鍵を開けるなどの作業によって購入者との間にトラブルが発生しカスハラ増加要因となること、購入者自身が商品を手に取ることができなくなるなどと反対意見を表明している。
また「購入者情報の記録・保管」については、サイバー攻撃が急増する中、企業が負うリスクが大きいことなどを指摘している。
「とりまとめ」の内容に反対しているのはドラッグストア業界だけではない。楽天グループ社長の三木谷浩史氏が代表理事を務める新経済連盟は、“濫用薬”の販売時に、購入者とのビデオ通話を介するいわゆるオンライン服薬指導形式とすることに反対している。「インターネット販売にビデオ通話を導入する負担は大きく、容易ではない」「対象商品や対象者への取り扱いを諦める事業者が多く発生し、市販薬へのアクセスが阻害される可能性」などの意見を表明している。
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