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「貯蓄から投資へ」一気に加速している納得の背景 馴染みのスローガンもついに終わりを迎えるか

東洋経済オンライン / 2024年7月3日 17時0分

2015年には、金融庁と東京証券取引所により上場企業に対するコーポレートガバナンス・コード(企業統治方針)が策定されました(以下、CGC)。CGCもSSC同様に法的拘束力はありませんので上場企業には、やはりComply or explainに基づいた対応が求められます。

SSCとCGSは、インベストメントチェーンの3つの主体のうち2つ、機関投資家と上場企業に対して導入されたものですが、3つ目の個人投資家を対象としたものが、NISA(少額投資非課税制度)です。

NISAは、イギリスISAをお手本にして2014年に始まり、10年が経過した今年1月には制度が大幅に更新されました。非課税期間の恒久化や投資上限額の拡充による使い勝手の向上が図られたのは、先述の「売買すれど保有せず」の個人投資家ではなく、中長期で安定的に保有する個人投資家を育成していくために違いありません。

今から10年前のほぼ同時期にインベストメントチェーンの主要3主体である機関投資家、上場企業、個人に向けて、それぞれSSC、CGC、NISAが策定されたことが「貯蓄から投資へ」を間違いなく加速しています。

投資家のマインドが変わったのはなぜか

車輪のもう1つが、個人投資家におけるマインドの変化です。これは、ここ10年間の年齢ごとの投資イメージ調査結果に鮮明に表れています(下図1参照)。2010年には年齢を問わず7~8割の人は、投資をリスクであり怖いものという見方をしていました。

それが、2020年にはすべての年齢層で前向き・楽しいものと捉える人が大きく増加していることがわかります。特に、これから社会の中核を担っていく20代・30代の人たちの4割は、投資をポジティブに捉えているようです。

喫茶店で隣の席に座った大学生とおぼしき3人が、雑談のように気軽に自らが投資している投信について語り合うのを聞いた時、めずらしい連中だなぁと思ったのですが、このデータを見てと考え直した次第です。

若い世代の投資へのイメージが変わってきたのは、金融教育を受けた人が増加しているからでしょう。金融リテラシーの高い世代が育ちつつあるということです。

加えて、2019年6月に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書が、いわゆる「老後2000万円問題」として大きく報道されたことで、自分自身による資産形成の重要性が高まっていることを否応なく認識したことも影響しているでしょう。こちらは若い世代のみならず、全世代へ強烈なインパクトを与えたはずです。

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