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「新宿野戦病院」クドカンの原点回帰を予感する訳 「不適切」と「虎に翼」の風穴のさらなる拡大へ

東洋経済オンライン / 2024年7月3日 13時0分

書き写していてクラクラしてくる。そのクラクラはもちろん、ワクワクとつながっている。

「池袋ウエストゲートパーク」への原点回帰?

そして3つ目の注目点として、上記のような奇天烈なキャラがみんな、自然に馴染むであろう新宿歌舞伎町という舞台設定だ。公式サイトには、こう書かれている。

――新宿・歌舞伎町にたたずむ病院を舞台に、ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民などさまざまなバックボーンを持つ“ワケあり”な登場人物たちが交錯する社会の構図をテーマとし、官九郎節ともいえるときにユーモアを織り交ぜながら、さまざまな悩みや問題を抱えながらも人生を強く生きる人たち・仲間・家族を通して、「命」の尊さを投げかける新たな救急医療エンターテインメントをお届けします。

宮藤官九郎作品のほとんどを見てきたが、印象の鮮烈さでいえば、彼の連続ドラマデビュー作『池袋ウエストゲートパーク』(2000年、以下『IWGP』)が最高水準だろう。

池袋における不良集団の抗争という設定の上で、有象無象の奇天烈キャラがワチャワチャし続けるストーリーを眺めながら、当時私は「21世紀のドラマが始まった」と確信したものだった。

今回の『新宿野戦病院』は、先の説明文や、そもそもタイトルの近似性からして、『IWGP』への原点回帰になるのではないか。「21世紀のドラマがまた進化した」と思わせてほしいものである。

ドラマ界に「風穴が開いた」

さて、宮藤官九郎の前作『不適切にもほどがある!』と『虎に翼』に共通するのは「攻めてるなぁ」という感覚だ。

『不適切にもほどがある!』には、阿部サダヲ演じる「不適切」な「昭和のダメおやじ」が躍動する姿を、ぬけぬけとオンエアするという「攻め」を感じた(過度な炎上を回避する周到な配慮も同時に感じられたが)。

そして『虎に翼』は、時の与党や宰相が改憲を訴え続ける中で、日本国憲法(特に第14条)の価値を描き出し、またネット民が反応しがちな「フェミ」的内容やコリアンの生き様を毅然として打ち出している(吉田恵里香の脚本には果てしない「強度」を感じる)。

他、貧困層の代理母出産をテーマとしたNHK『燕は戻ってこない』や、現代のさまざまな問題をしれっと取り上げ、最後は国家賠償請求訴訟にまで展開したテレビ朝日『JKと六法全書』などを見て思ったのは、「おっ、ドラマ界が少し開き直ってきたぞ」という感覚である。

さらにいえば――「あっ、風穴が開いた」。

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