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子供いない夫婦「相続で失敗しない」1つの方法 家庭裁判所で「調停」が必要になるケースもある

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 8時20分

「遺産分割協議書」などの書類を揃えなければ、預貯金や不動産などの遺産に手を付けることができないからです。

「夫婦ふたりの財産」の相続手続きをするはずだったのに、残されたAさんの妻が義兄のBさんに連絡をとり、頭を下げて協力をお願いしなければならないのです。

結果的に、Aさん夫妻のケースでは②となりました。

夫の兄であるBさんは、法定相続分を主張してきたのです。

妻と兄が相続人である場合、兄の法定相続分は4分の1です。

夫婦で協力して築いてきた財産にもかかわらず、3000万円の4分の1、つまり750万円を夫の兄に渡すことになり、Aさんの妻の取り分は、2250万円となりました。

Aさんの死によって、貯蓄額が大幅に目減りしたAさんの妻。

老後の生活設計にも、大きな影響を与えることになりそうです。

(「準備不足だったAさん夫妻はどうすればよかったのか?」その答えは本稿の最後に記します)

また、きょうだいの仲が悪かった場合などは、遺産分割協議書に実印を押すのを拒まれるケースもあるでしょう。

そういったケースでは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し込み、司法の手を借りて話し合いを進めなければなりません。

「相続人がどこにいるか不明」だと、さらに面倒な事態に…

それでも、相続人の所在がわかっているのであれば、まだラッキーです。

「配偶者の親や兄弟姉妹なんて、わざわざ調べなくてもわかるよね?」と思うかもしれません。

しかし、長らく疎遠でどこに住んでいるのかもわからなかったり、あるいは行方不明になっていたりというケースは、思った以上に多いものです。

遺産分割協議書を作成し、金融機関や法務局などで相続手続きを進めるためには、故人(被相続人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍と、相続人の現在の戸籍謄本の提出(親族関係を証明するため)が求められます。

つまり、故人の戸籍をさかのぼり、故人の両親の戸籍をさかのぼり、両親それぞれに子どもが何人いるのかを明らかにし、場合によってはその子どもの戸籍までたどり……、ようやく相続人が特定できるというわけです。

相続人調査をした結果、自分たちも知らなかった異母(異父)きょうだいの存在が判明することもあります。そうなれば、会ったこともないその異母(異父)きょうだいに連絡をとり、遺産分割協議をしなければなりません。

相続人が多ければ多いほど、また本籍地を変更した回数が多ければ多いほど、相続人調査に時間がかかります。専門家に依頼すれば、お金もかかります。

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