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株主に「経営陣退陣」を迫られた2社が残した宿題 主導権は会社側が確保するも"一件落着"ならず

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 8時30分

当然、SC側も黙っていない。ダイドーが契約するコンサルの代表を務める山田氏について「株主との重大な利益相反の懸念がある」としたうえで、山田氏が策定に携わり、ダイドーが5月に初めて公表した中期経営計画も「実現性に疑問がある」と反論した。

新規事業で6億円の利益創出?

SCの株主提案をきっかけに、旧経営陣が退任に追い込まれたダイドー。新たな経営体制でも、こうした意見の対立を解消できなければ事業の立て直しはおぼつかない。

中計では、2027年3月期の営業利益15億円(前期実績は4.4億円の赤字)を目標に据えた。選択と集中によって既存のアパレル事業の収益改善を進め、足りない部分はM&Aなど新規事業で補うとする。その額は営業利益にして約6億円と、かなり挑戦的な数字だ。

これだけの利益を稼ぐ事業を買収するには、一般的に数十億円以上の資金が必要となる。保有不動産の売却で捻出するというが、最も資産価値の高い小田原のショッピングセンターについては売却検討から外している。M&Aそのものも山田氏は「買収候補のターゲットリストはできている。ある程度めどは立っている」と話すが、成功するかは未知数だ。

一方、ダイドーと同程度の数百億円という時価総額で、同じく株主から経営陣の交代を迫られていた証券会社がある。6月26日に株主総会が行われた東洋証券だ。

東洋証券に対しては、UGSアセットマネジメントという企業が配当額の引き上げや取締役選任の提案を行っていた。

東洋証券の事情は複雑だ。UGSアセットマネジメント自体の株式保有率は8.9%であるものの、同社と投資先が重複したり、幹部同士の知人関係などが疑われるような株主が複数存在しているのだ。それらを合わせると議決権の保有率は3割近くに達する。

東洋証券はこれらの株主に対して2023年12月、「共同協調関係」に当たると認定したが、株主は否定している。本来、5%超の株式保有や議決権行使を共同で行う場合、大量保有報告書で共同保有者として開示が必要だ。適切な開示をせずに複数の名義で株を買い集める行為は「ウルフパック戦術」と呼ばれる。

ダイドーと同様に、東洋証券の業績は厳しい。2022年3月期以降、2期連続の営業赤字を計上。2024年3月期は黒字復帰したものの、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新するなど市況がよかったことが一番の要因で、その利益水準は競合他社に比べて見劣りする。

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